第24話


 私の好きな香りがふんわり漂う寝室で、勇太は自身のベッドへ私を押し倒して強引に口付けをした。

「んム」

「んッ……はぁ…千里、ニンニク臭ぇな」

「勇太だって…」

「おかげさんで元気よ、なぁ触って」


 ズボンの上からソコを触ると硬くゴツゴツとした感触が伝わって、手を動かす度に勇太は「んッ」と顔を歪める。

「痛い?」

「ちゃう、過敏になってんねん…ん、脱ごか」

「あ、お風呂は?」

「1発シてからな」

そう言うと彼は上も下も脱いで、私のTシャツへ手を掛けた。

 しかし脱がすのではなく捲るだけ、ブラジャーも着けたままで鎖骨の上へずらされる。


「勇太、やだ、」

「それは言わへん約束やろ」

「あ、ごめん…こ、こういうのが好きなの?」

「着エロ好き…前戯無し即ぶち込みとか超好き」

「え、AVみたいだね、」


 なんとなく覚えのあるワードだったので反応すれば、据わった目の中の瞳がギョロリと私を捉えた。

「…千里、AVとか観んの?」

「あ、あの、女性用のやつ、サンプルだけ観たの」

「俺の居いひん時にAVなんか観てんの?スケベな嫁やの」

「だ、だからサンプルしか、あ、」

「ココも見せて」


 上は着たまま下は裸、これは素っ裸よりも恥ずかしい。

 ズボンをずらされた私はあわあわと臭いや汚れを気に掛ける。


「濡れてんなぁ、奥さん、もう挿れまっせ」

「え、もう?」

「即や言うてるやん、おら、子作りすんで、なぁ、」


 熱い皮膚が私の入り口を擦る。

 2回、3回と通り過ぎれば引っ掛かった先端が固定されて照準が合わさった。

「あ、あ、」

「千里、久々やな、ええな?」

「あ、の、」

「ええか、て聞いてやっとんねん、応えろや」


 きっとこれが最後通告だったのだろう、「これ以降は嫌がっても止めないぞ」と。


 夫の雄みが荒々しくて恐くて、でも同時にその男らしさに体の奥がキュンと疼いて、

「あ……いい、よ…」

と目を閉じれば

「ん、」

と肉が温かい所に触れる。

 そして潤いもそこそこに中へ、内臓に近い体内へと勇太が入って来た。


「ッ…あ、」

「あー……何ヶ月ぶりや…あー…嫁のや…やっぱええな…くー…これでエロかったら満点やねんけどなッ…マグロやねんなぁ、」

私に侵入しておいて、夫はその私を少々侮辱する。


「ゆうッ…」

「おら、もっと喘げ、AV観たんやろ?あ?」

「む、りッ…ひァ」

「信じても信じんでもどっちでもええけどな、本番ありの風俗は過去にも日本では行ったことあれへん、今回のが初めてや、これはほんまに」

「う、んッ」


 勇太は外見はまぁまぁだけど社交性が高くて明るくて盛り上げ上手、きっと私と出逢う前も相手に困ったことは無いと思う。

 お店で解消するより気の合う彼女と経験を積んだのだろうと…過去の女性遍歴は尋ねたことなど無いのだけれど、なんとなくそう思っていた。

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