7・二人を繋ぎ止めるもの

第17話


「千里…ん、乳首反応しとんの、可愛い」

 季節は梅雨の6月、夏布団の下では夫がパジャマ越しに私の胸を弄る。


「してないよ!」

「勃ってんよ」

「…そうなの?」

「ふふっ…千里、俺のも見て、胸ちゃう、コッチ」


 ソレを見るのも手慣れたもの、直視できない恥ずかしさはあるものの布団を持ち上げてチラチラと覗くくらいは平気になった。

「触って、」

「え、」

「ココ触って、そこ、ほら」

「あ、うん……ゎ、ぁ…」

摘まれたまま熱を探って手は布団の中へ、指先が熱いものに触れるとそのさらさらとした感触に驚いてしまう。


「ん、」

「…さらっとしてる…濡れてない…」

「まだね…そこな、俺そこがええの。んー…ふふっ…千里の手ぇでシて貰えんのは嬉しいな…」

「本当?」

「うん……あー……うん、爪立てんなよ、そう、上手よ、千里」

「…は、恥ずかしいね…」

「こんなん、お洒落さんな千里にようさせられんやろ、しやから金払うて外で…あー、そう、上達が速い…」

「……もっと…言って欲しかったな、」

「ん?んー……せやな、断られるんが恐いから…言われへんかった…あ、あー…やっべ、イきそ、はー…」


 自分の手で夫がこんなにセクシーな顔で声で悶える、けれどこれを複数人に見せちゃったんだ。やっぱり哀しくて興奮しきれない。そして褒められても「他の女の子にも同じことを」と考えてしまう。

 それは元カノにも言えることなのだけど…結婚したからには私が唯一の相手であるべきで、自分は意外とやきもち焼きなんだなぁなんて新たな発見もあった。


「おしまいね」

 そう言い手を離すと夫はこの世の終わりみたいな絶望を顔にたたえて、

「くぅ…」

と情けない鳴き声を上げアルマジロのように丸まる。



 そんな緩い営みを続けること実に3ヶ月。

 定期的に芸能人や著名人の不倫スクープなどがテレビで取り沙汰される度に私はフラッシュバックに襲われた。イライラしてムカムカして勇太に当たったりもした、それでも負い目のある彼は甘んじて受け止めてくれた。

 夫はセックスしたいんだろうなぁ、なんせ私とシている時だってマッサージとやらに出向いていたくらいなんだもの。


 このままでは『離婚』になるかもしれない、私はぼちぼち体を許す気でいる。

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