魔力が使えなくなり、信頼していた仲間の勇者にも見限られ、自身が創設したギルドから追放されたアーレ。以前から各所で恨みを買っていたためアーレに次々と刺客が送られてくるのだが、彼に残された武器はギルド運営で磨き上げられた口先三寸のみ……。
このあらすじだけだと、よくある追放ものに思われるが、本作の素晴らしいところは、登場人物の誰もが計算高く現実を生きているところにある。圧倒的に不利な立場ながら行く先々でタフな交渉を成功させるアーレはもちろん、彼を追放したルッツも王家を利用して、自身の権力を最大化しようと狡猾な計画を描く。さらにアーレが追放されたと聞いて彼のピンチを助けるためにやってくるヒロインたちも、その裏では自分だけがアーレを独占しようと虎視眈々と機会を窺っている。この登場人物が皆一筋縄ではいかず、誰もが毒のある考えを隠し持っているのが本作の大きな魅力だ。
スタートこそシンプルながらも、複数人の様々な思惑が絡み合いながら繰り広げられる会話劇は読み応えたっぷり。時には舌鋒ばかりではなく、実際の武力がぶつかり合うこともあり、竜や魔法が乱れ飛ぶアクション描写も絶品。主人公を助ける竜騎士や魔導士は相当の実力者なのだが、敵もただ一方的にやられるばかりではなく、しっかりと対策を練って挑んでくるからたまらない。
序盤から散りばめられた様々な伏線もしっかりと回収して完結しており、最初から最後まで太鼓判を押せるハイクオリティーな追放ものだ。
(「裏切られた人々」4選/文=柿崎憲)
作者の他の作品も好きだったが、同じくこれも主人公の覚悟が決まっていて、ヤンデレ達の拗らせ具合が良い。
鈍感系ハーレム主人公を題材にした作品は多く有るけど、この作品は主人公がヒロイック行き過ぎて、狂人に踏み込んで、ヒロイン達が愛情溢れすぎて、まごうことなく狂人。
主人公自身は現状無力だけど、覚悟とヤンデレを惹きつける力だけで成り上がり、徐々に力もつけていく成長も見逃せない。
過去作みてもヒロインみんなにチョロいと思わせないような、理由づけの描写もされていくことでしょう。残りの勇者や、後輩についても色々激重感情吐露してくれる事間違い無し。