第五話_8月14日 青い境界線
運転手以外いないバスに、僕のラインに届いたメッセージの音が鳴り響く。運転手さんの集中をそらしてしまうかもしれないと思った僕は即座にマナーモードに設定するが、千橋中に通う不良共もこのバスを利用することがあるのを踏まえると、無駄な気遣いかもしれないと気付いたが、だからと言ってどうにもしなかった。
バス特有の青い座席シートに同化するように、スマホの青いケースが外からの日光を反射する。その日光も木々に邪魔されながら道路のあるところまでこれるのを考えると、太陽の力は偉大だな、とまんざらでもないことを考えてしまった。
今までは自分のスマホがないことを理由に必要のない付き合いを避けてきたが、親にスマホを持たせてもらってはそうはいかない。そのおかげで、夏休み前に兎耳先輩に教えてもらったラインのIDを追加することに無事成功している。そしてその代償に、今日もいつ必要になるのかわからない会話がたくさん送られてくるのは本当にめんどくさいことだ。その一環として兎耳先輩のクラスで行われる海交流会(と、かっこつけたことを抜かしているが実際は遊ぶだけ)にも誘われ、人付き合いをすることでしか得られない信用、情報、その他諸々を手に入れるついでに参加することにした。実際は家族で海に遊びに行ったことがないので、家族が僕のラインを勝手に覗き込んだ挙げ句、快く強制的にOKさせられたから行くだけだ。僕以外の参加者は全員2年生なので、現場で浮くこと間違いなし。
もう一つ、参加する理由としては兎耳先輩が僕以外の人と遊んでいるところを見ておきたかったから、というのもある。僕のことを常日頃から脅して行動を制限させた上、前より一層殺動(動物を殺している行動のことを言っているが、わざわざ説明するのもめんどくさいので省略している)を見せてくるようになったあの憎き先輩。その先輩が、どのように溢れかえっている不良共の悪さを跳ね飛ばしているのかが気になっている僕は、危険だと分かっているのにわざわざしょうもない理由で遊びに行こうとしている。そんな僕は自分のみぞおちを殴ることにした。しかし僕は明確にみぞおちがどこのことを指すのか知らない、というか医学的に明確な分類がされていないと思う。ちなみに、先輩は僕に殺動がバレたあの一件以降、人の通る道からもっと深いところで実験(という名のただの快楽)をするようになっている。僕が兎耳先輩の拘束から逃れられる日は徐々に遠ざかりつつあることはちゃんと自覚している。
人が密集する場所だから、という実際とは多くかけ離れた言い訳で換気のために開けられている窓から今まで嗅いだことのない匂いを嗅ぎ取った僕は、その匂いの正体を探るために顔を座席と座席の間にひょっこりと出す。ちなみに、さっき届いたメッセージはまだ読んでいないが、どうせ兎耳先輩からのメッセージなので無視することにした。既読はつけていないから許容範囲のハズだ。運転席の真後ろに座っているおかげで前方がよく見える。バスの向かう先にはコンクリートの塀が見え、それの正体が海岸によくあるものだと気づくのにそこまで時間はかからなかった。なぜなら社会の教科書で沿岸保護のコンクリート塀を写真で見たからだ。そのコンクリート塀沿いの道路を通行するためにバスが曲がる…のかと思いきや、信号もないのに交差点の手前でバスが止まった。何事かと考える暇を与えるまいぞ、とでも言うように運転手がマイクで「波の内〜波の内〜、ご乗車 ありがとうございました〜」と、僕以外いない社内にアナウンスを響かせた。バスの時間を遅延させないようにできるだけ早く荷物を手に取り、これまた最近持たせてもらったばかりのICカードを読み取り機にタッチして、300円の損失をぼんやり眺めた。足を地に付ける前に一言、「ありがとうございました」と大きすぎず小さすぎずのちょうどいい声量で言い、最近整備されたばかりであろう土気のない歩道に足を下ろす。その瞬間にさっきまで僕だけを乗せていたバスはいなくなっていた。いるかいないかも分からない乗客を乗せるため、僕が横断歩道を渡る前に左折したのだろう。
本当は先輩からのラインを無視しようかと思ったが、集合場所を確認しなければいけないため、渋々とラインのメッセージ画面を開いた。予想通りさきほどのラインは先輩から届いたメッセージで、『着いた?(笑)』『僕はもうついてるよw』といういちいち反応の多い文章と共に、それを助長する偉そうな兎のスタンプが送られてきている。ちなみに、そのときの僕は先輩の苗字である「兎耳」という苗字の存在を意識していなかった。あとから考えれば、先輩なりに面白くなるよう掛けていたのかもしれない。
既読が着いてしまったが、すでに集合場所の近くにいる以上返信する必要がないと思い、目的の集合場所が書かれたメッセージを探す。思ったより先輩から送られてくるメッセージの量が多いせいで見つけるのに時間がかかってしまったが、それでも根気強く探した。別に集合場所について教えてもらった内容を忘れたわけじゃないが、確かかどうか分からない記憶に頼って迷子になるよりかはちゃんと形として残っているものに頼る方がいいと思っての行動だ。決して生徒会長候補に入っている僕が教えてもらったことを忘れたわけじゃない。本当だ。
書いてある道順の通りに進むため、横断歩道を渡ってすぐ右の階段を降りた。雑談が大好きな先輩は余計なおせっかいもするわけで、やけに細かく、目印も添えて集合場所までの道順がそこには書いてあったが、すぐにそれは無意味であったと分かる。いや、確かに先輩はいつも無意味な会話しかよこさないがそういうわけじゃない。階段を見えてくる途中でかなり遠くのほうでせっせと一人で準備する先輩が見えたからだ。自慢の視力を持つ僕でなければその人物がすぐに兎耳先輩であることに気づかなかっただろう。その証拠に、同じく僕の姿が見えるはずの先輩からは呼び声がかけられず、ならいっそ、バレないように近くまで行って驚かしてやるのはどうだろう、と思ったがやめた。こうして遠くから見つけられたのも、建物がほとんどない砂場のおかげかもしれない。
そうして普通に兎耳先輩のところに歩いて進む途中で、兎耳先輩もこちらの存在に気づいた。すぐに先輩の声に反応できなかったのは「兎耳先輩が不良共の悪さを避けられているは、実験のときもそうだが、いつも用意周到に何かしらの準備をしているからかもしれない」と根拠のないことを考えていたからだ。少しの間をおいて、僕からの返事を受け取れなかった先輩は「朝麻〜?集合場所こっちだよ〜」と僕が呼びかけに反応しなかった理由をあたかも勘違いしたかのような発言をする。流石に呼びかけに一回で反応しなかったのは申し訳ないので、「ありがとうございます」とバスの運転手に言った言葉と同じ言葉を先輩に返し、ちょっと駆け足で先輩のところに向かった。途中で枝に躓いたのは海に慣れてないからだ、と言い訳をしようとした僕を僕が許せるわけがない、とでも言うと思ったかこのやろー。誰に言っているのかは自分でも分かっていない。
見事に枝に躓いた僕を心配したのかそうじゃないのか、ビーチボールを膨らませていた手を止めて先輩は全速力で僕の元に駆け寄った。全速力で走っても僕が転ぶ前に追いつかないのはいつも馬鹿な真似をしている先輩にも分かっているはずだが、それでも一人で先に集合場所にいた先輩は僕と話したかったのかもしれない。もちろん根拠はない。
「朝麻おはよ〜!大丈夫転んでない?」
転んでないのは先輩も見てるでしょ
「あーはい。大丈夫です。先輩、集合場所に着くの早いですね。まだ約束の1時間前ですよ。気の向かなかった日はいつも朝の会の時間ぴったりの時間に校門をくぐっているクセに。」
「気の向いた日だから約束の時間より早いんだよ」
僕の嫌味ものらりくらりかわす先輩はたぶんそれが嫌味だと気づいていると思う。あえて素知らぬ顔をしているだけだと僕には分かる。
「あと約束の1時間前って言ってるけど、実際には約束ピッタリの時間だからね、今」
「…ん?」
こんな腑抜けた声を出した僕にも先輩の言いたいことはなんとなく分かってる。その考察が間違いでないことを確認するために、先輩から送られてきていた集合時間のメッセージと今の時間を見比べる。教えてもらった集合時間の1時間前…だが、その教えてもらった時間が実際とは違う可能性は確か。つまりだ。
「…本当の集合時間は今だけど、どうせ僕達の通う学校には不良共が溢れかえっているんだから、今日来る予定の人のほとんどが集合時間から1時間経ってもこない…と踏んでいるってことですか?」
これで完璧なアンサーになったはずだ。
「ん〜、惜しい。それもあるけど、僕は朝麻はどうせ真面目だから集合時間より早く来ると思って実際より1時間遅れた集合時間を教えた…ってところかな」
嫌〜なひっかけをした先輩は、自信満々にそう答えた。その言葉を聞いて思い出したのは、いつも先生が話す時のひっかけだ。教師ってのはだいたい、大事な話をするときに「〇〇の理由を考えて答えてごらん」と言うが、思いついた理由を答えても「それもあるけど、他にも理由あるんだよね」と無責任なことを言う。なら最初から理由が複数あることを教えろよ、と先生に対して失礼な発言を心の中ですることがあるが、そのたびに毎回心の中で僕を処している。まぁ要するに、先生方はいつもこの卑怯な手で格の違いってのを生徒に知らしめたいのだろうということだ。
「なんか僕のことをわかりきっているみたいな口ぶりですね。まだ出会って4ヶ月しかたってない上、僕のことを無駄に拘束している快楽主義者め。」
「まぁ確かにまだ4ヶ月しか経ってないけど、実際こうやって本来は触れてはいけないことにお互い触れているわけだし、僕は朝麻のこと結構理解しているつもりだよ?あと快楽主義者って言い方なんか嫌だからやめてほしいんだけど、いや事実かもしれないけどさ、」
「何も間違ってないですし、悪事を働いて罪悪感すら抱かない先輩にはお似合いの言葉ですよ」
「ん〜…遠回しにしないところはあれだけどまぁ世間的には間違った発言はしてないね」
「世間的に、というか全人類から見たらそうですよ」
「全人類とは限らないでしょ…w」
こんな無駄な会話をしながらも、僕の無意識の領域は他人の評価からを大事にしているらしく、勝手に体が遊びの準備を進めていた。先輩もそんな僕のことを分かっているかのように何も言わずに一緒に作業している。たぶん実際には僕のことを分かっていないはずだ。ラインのときと同じ、というかそれよりも一層勢いの強い無駄な会話をテンポ良く続けているうち、僕もその心地よいテンポから抜け出せなくなってきている。先輩は意外と策士かもしれない。そうこうして作業を終えたところに他の先輩方が来て、僕を見るなり「もしかして綾真のところの後輩?!」「かわいい〜」とか女子軍が頭をなでなでしてきた。子供じゃないんだぞ、とか失礼なことを心の中でかましていることに気づきながらも「兎耳先輩の同級生の方ですよね?いつもお世話になっています」と、母親みたいな間違った発言をしてしまった。その行動を天然と勘違いした女子軍のナデナデは終わることを知らず、他に来ていた先輩方と一話しを終えたころに「あれ?朝麻結構人気じゃん」と本人の望んでない言葉をよこした。
兎耳先輩がジュースを配り終えるのを境に、先輩方は全員遊びを開始した。俺のジュースだと各々が言い張りながら余ったジュースを奪い合いする者もいれば、立ち入り禁止区域にあるあの護岸用の岩に登る人もいる。さすがは不良だ。女性の先輩たちは砂場で遊ぶが、たまに上手くできずにキレている。正直言って、さっきとは一変してキレている姿は怖いが、兎耳先輩に比べれば可愛いものだろう。その例の兎耳先輩は海遊びをする気がないようで、その顔はいつもと同じ満面の笑みなのに自分で用意したあのよくビーチで見かける椅子(名前は…知らない)にもたれかかっていた。その様子を見た不良の先輩が「海怖くて入れないのかよw」と煽るが、その煽りも「海が怖いならプール行けばいいじゃん」とわざとであろうズレた発言で避けている。流石は快楽主義者の殺動鬼(これも僕の造語)。言い訳が上手い。そんな駆け引きが無駄だと分かった不良の先輩は立入禁止区域で遊んでいる同じ不良の先輩方を呼ぶことにしたそうで、兎耳先輩はまたあの名前の分からない椅子に座り直した。ちなみに、兎耳先輩の隣に座っていた僕に、あの不良の先輩は目もくれなかった。
「…先輩が不良っぽくない不良の理由が分かった気がします」
「不良じゃないって」
「動物殺して立派な犯罪を犯しているんだから不良じゃないですか」
「これでも一応常識はあるつもりなんだけどなぁ」
「僕が先輩の犯罪を申告しようとしているのに激痛でそれを叶わなくしているのが常識ですか?」
ちなみに少し前から気づいたことなのだが、先輩の前で殺動の話をしてもあの痛みとか吐き気は襲ってこないらしい。まぁ先輩が好き好んでそのような話をしたいからなのかもしれないが。
「それは当たり前でしょっ、誰しも自分の犯した犯罪をバラされたいわけないじゃん」
「そんなの分かるわけないじゃないですか」
少しずつ潮風の匂いに慣れていた鼻が、いきなり来た強風という名のこれまた潮風に気を向けさせてくる。僕と兎耳先輩の髪を崩し、それでも兎耳先輩は気にしてないかのように話を続けてきた。
「…前から言おうと思ってたんだけどさ、やっぱ直接話したほうがいいと思うから、今朝麻に話しておくね」
「…何の話ですか?」
「夏休み始まってすぐさ、僕の家に朝麻を読んだじゃん?」
その話をされてすぐ、僕は信頼という名のものを手に入れるために話を自分から切り出した。こんな先輩と付き合っているとはいえ、本質は利口な優等生だ。
「あ、あのときはすみませんでした。せっかく訪問させてくださったのに自身の身勝手な行動で先輩の家を出ていってしまい…」
「あぁ、いや、うん。そんなかしこまらなくていいし、僕が話したいのはそういうことじゃないんだよね。」
どうやら言いたいことが違ったらしい。先輩の話を遮り、話しにくい雰囲気にしてしまった僕はいつものノリより思い一撃を心の中だけでなく、現実で平手打ちを言う形で自分にした。こんなことをできるのは兎耳先輩の前だけだ。他の不良共の前でやったら馬鹿じゃねぇのって言われてたはずだ。この光景には慣れていないようで、さすがの兎耳先輩驚いたようだが、かまわず話を続けた。
「どっちかって言うと、朝麻が帰った後の話なんだ」
「帰った後…ですか」
「うん。そう。朝麻が帰った3時間ぐらい後かな?ちょっと気分転換に外歩いてたんだよ。」
絶対嘘だ。本当は殺動するために外に行ったんでしょ先輩?という心の呼びかけは当然無視される。
「そしたらね__見つけたんだよ。人を。」
「人?それがどうしたんですか?」
まさかこの先輩。ついに動物だけじゃなくて人にも手を出しやがったのか?ん?いや人も動物か?でも言いたいのはそういうことじゃなくて__
「あぁ大丈夫心配しないで。僕が見つけたときにはすでに瀕死だった。呼吸はしていたから生きてはいたよ。」
「いや心配しますって。なんですかたまたま見つけた人が瀕死って。心配しない要素がどこにあるんですか。」
また先輩の話を遮った僕はそんな自分を無視する。今はそんな自分を処すノリじゃない。
「ほら、千橋市にはもう一個有名な事件があるじゃん。てか一個の有名な事件の犯人は僕だけどさ。」
「あ…あぁ〜…あの事件ですか。大量無差別殺人事件。」
「まぁ単独犯による期間を開けた連続殺人だけどね。実際、そこがどうなのかは知らないし、僕も確証がないんだけど、その事件の被害者であろう人に遭遇してしまったんだよ僕は。瀕死の状態だから、生きてはいたけどね。」
「…どうなったんですか、その人は」
「死んだよ」
さっきまで吹いていた強い潮風が、一気に止んだ。そこから少し冷静になった僕は周りにこの話を聞いている人がいないかあたりを見渡し、いないことを確認してからもう一度先輩に向き直った。
「先輩が見つけた時点で、もう助からない状態だった…ってことですか?」
「いや、すぐに救急車を呼べば助かったと思うよ。これでも僕は人体に詳しいと自分で思ってるし。」
「じゃあなんで救急車呼ばなかったんですか」
先輩の数々の奇行を幾度なく見てきた僕でも、それは疑問だった。
「考えてたんだよ。今ここで僕がこいつを見殺しにすれば、それは僕がそいつを殺したことになるのか、それとも僕が来る前にそいつに危害を加えたやつが殺したことになるのか…ってね。」
「いつも動物殺しているのに、そういうことは考えるんですね。いつも動物殺しているやつが考えることじゃないような気がしますけど。」
「まぁ、それはそうなんだけどさ。動物を殺すのと人間を殺すのとでは訳が違うじゃん。一応僕らに近い存在なわけだし。」
「なんですぐに救急車呼ばなかったんですか?」
「スマホ持って行かなかったから」
「嘘つき」
「バレちゃったかぁ」
「先輩のことだしちょっと楽しんでましたよね?」
「確かにちょっと楽しんでいる節はあったけど、今の話は真面目に言ったつもりだよ」
「なんでそんな話を僕にしたんですか?」
「誰かにこの話をしたかったから」
「それ以外の理由は?」
「特になし」
てっきりその人を殺したのが自分かもしれない、と思われているからそんな話をしたのかと思ったが、そんなことはなかったようだ。
「別に朝麻を疑っているわけじゃないよ。一応僕の能力で朝麻が何しているのかはリアルタイムで分かっているわけだし。」
「僕は先輩の能力が何か知らないですけどね」
「教えることはないと思うよ」
またちょっとズレた発言をする先輩に、僕はそれ以上話かけることをしなかった。日光に照らされながら揺れる波の無効には、ただ青い空が広がっている。潮風に乗ってくる匂いもいつの間にか重くなっており、その匂いになれていない僕は海に遊びに来た人専用のトイレにこもることにした。トイレを終えて戻ってきたときには、他の先輩方もお腹が空いたようで、兎耳先輩が無償で持ってきた弁当を食べている。中身はみんな一緒だったため、取り合いにはならなかったらしい。というかそんな細かいことでいちいち喧嘩する先輩方も大概だと思う。兎耳先輩はさっきの会話がなかったかのように明るく「朝麻も食べよ〜!」と声をかけてきたので、こちらもさきほどのことがなかったかのように普通に昼食を食べ始めた。うるさいほどの声量で雑談をする先輩方に混じって、さっきナデナデしてきた女子軍が僕のことを質問攻めにする。それに真面目に答えながら昼食を食べていると、先輩の一人が「さすが生徒会長に立候補しているだけあって真面目だね〜」とほしかった言葉を投げかけてくれた。非常にありがたいことであるため、それ相当の返答をした、はず。
この調子で何事もないかのように午後も過ごし…きれなかった。今日一日一緒にいただけのはずなのに女子軍の先輩方から「なんか暗いね?どしたんなんかあった?」と言われてしまったことは盲点だっただろう。それでも僕は精一杯、普段通りになるように「いえ、ちょっと初めて海に来られたので感動しただけです」と返した。足がちょっと震えていたのは見られてなかったと願いたい。
他の先輩方が片付けもせずに勝手に帰る中、僕も手伝えるところまでは兎耳先輩と片付けをし、あとはほとんど兎耳先輩の私物であるため兎耳先輩に任せた。下手に手伝おうとして困らせるよりかはましである。他の先輩方が帰ったのにも関わらず、僕と兎耳先輩は別れるまで何事もなかったかのように青春とでも言いたい、青いを会話し、そのまま別れた。
帰るときに、そういえば、僕も兎耳先輩も髪色が青系統だな、とふと思った。青いものばかり見てきたからそう考えたのかもしれないが、それ以外の理由もあるはず。そう考えて理由をさがそうとして、やめた。僕も兎耳先輩に余計なことをしようとするクセを遺伝させられたのかもしれない。
バス停にたどり着いたバスは、景観保全のためか、全体的に青い色をしていた。海でも象徴するかのように、波の絵柄が書かれている。
新学期が、ちょっと憂鬱であった。
==================================
=====================
=========
どうも僕です。
前回の投稿から3ヶ月が経過しております。理由は燃え尽きてさぼっていたからです。
最近熱がまた出てきて書いたんですけど、やっぱり文章とかちょっと変わってた。無駄なスクロールが減った。
ということでまぁ本番はここからですね。ということで次のお話までアデュー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます