第67話 使徒8 使徒9
「ふぅ。やっぱり紅茶は落ち着くね。」
「ありがとうございます。」
お手伝いさんが、朝食を終えた後、いつもの紅茶を淹れてくれた。
僕はコーヒー派だが、この世界にはコーヒーがない。後で何とか作りたいと思っている。
「そういえばレイン。今日も仲間は狩りに出かけているの?」
同じ様に、食後の紅茶を美味しそうに飲みながらレインが答える。
「はい。ヒカリ様。おそらく、後数日でこの島(国)の全てのモンスターや野獣は狩り終えると思います。」
「そうなんだ。・・・・・ところでどう?フィア。もう慣れた?」
レインの答えに頷くと、同じく朝食を終えて紅茶を美味しそうに飲んでいるフィアが、可愛らしい笑顔で答える。
「はいっ!ヒカリ様。今日一日、自分で考えて行動する事がこんなにも楽しいなんて。今は毎日がとても楽しくて楽しくて。充実しています!」
「ハハッ。それは良かった。」
フィアとローレットがこの島に来て、半年の月日が流れた。
フィアは最初の数日は、他人から決められた事しかした事がなかったからか、かなり戸惑っていたけど、それもすぐに慣れて、今は僕と一緒にいる時以外は働いている人達の疲れを癒し、ケガをした人を癒したりと、色々な現場をまわっている。
・・・・・しかし、いつも思うけど凄いな。
彼女が美味しそうに飲んでいる様子を僕は見る。
フィアの周りが、僕達の食卓の周りが、この部屋全てが、空気がとても澄んでいるのが分かる。彼女がいるだけで、周りが浄化されているのだ。・・・・・【大聖女】たる由縁だろう。
こんな大人物が僕の仲間になっていいのか?
そんな事を考えてしまう。
そしてもう一人。
窓を開けて、朝の空気を入れる。
とても気持ちがいい風が僕の顔を吹き抜ける。
ゴゴーン・・・・・。ドーーーーン・・・・・。ガガーーーーン・・・・・。
紅茶を飲みながら外を見ると、遠くの森から火柱が上がっている。
多分、ローレットがモンスターを殲滅しているのだろう。
ローレットは、この島に来てすぐに行動を起こした。
僕の寿命を延ばす為に。
彼女の弟を救った時に、僕はスキルを使って寿命を【放出】した。
その甲斐あって、弟を救う事が出来たんだけど、その時に表示された寿命が・・・・・『寿命/残り989年』だった。
そう。
1,000年失ったのだ。彼女の弟の呪いを解くのに。レイン達の体を治すのだって、60年位を捧げただけだ。まさかここまで失うとは思いもしなかった。それだけ、この呪いは解く事が出来ない強力な物だったのだろう。・・・・・彼女が数万年かけても解けない程に。
ローレットは前世の彼女と性格がよく似ている。多分、僕が犠牲になって救ってくれたのが許せないのだろう。
だからローレットはこの半年間、ずっとモンスターを中心に討伐していた。いつの間にか、ジェミやリュートもいい運動だからと言って一緒に討伐している。
「・・・・・はぁ。」
僕は外を見ながらスキルを表示させた。
『寿命/残り7,000年』
【使徒】残り3名
ナンバー0:レイン=シルバー
ナンバー1:ジェミニ
ナンバー2:ミリオン=ロード
ナンバー3:ローレット=ジャニー
ナンバー5:セレン=キュート
ナンバー6:リュート=ファーマン
ナンバー7:フィア=バイオレット
ナンバー8:アッシュ=ルーフ
ナンバー9:クロック=ロドリゲス
7,000年。
7,000年だ。
この半年間、この島にいるモンスターをローレットは狩りに狩りまくって、魔石を僕に渡してくるもんだから、その都度【吸収】してたら、こんなに寿命が延びてしまった。
さっきレインが言った様に、あと数日でこの島のモンスターは全て討伐してしまうのだろう。
まぁ、あと半年で募集した人達がこの島に住む事になるから、安全が確保出来るという事で、結果オーライだからいいんだけどね。
あと、僕の寿命は仲間全員の寿命だ。多いに越したことはない。だからこれも結果オーライだ。
しかし・・・・・。
僕は紅茶を飲んで外を眺めていると、遠くの空がキラリと光り、もの凄いスピードで一直線に飛んで来ると、ローレットが窓から入って来る。
そして食堂に着地すると、僕達を見て、ブイサインを横にし、片目の前に出して楽しそうに話す。
「ただいま~♪ ヒカリっち~♪ この島(国)の~♪ モンスターは多分全部倒したよ~♪ これでリスナー達の受け入れはバッチリだね~♪ あ~お腹空いた~♪ ジョージさん~♪ 私にも朝ごはんちょ~だい♪」
「お疲れ様です。ローレット様。すぐにご用意致します。」
そう言うと、執事のジョージは、お手伝いさん達に指示を出す。
僕は呆れた様に朝食を食べ始めた可愛らしい少女を見る。
確かこの子は『ロイエン国』の【第一席】と言っていた。
フィアと同じく、こんな大人物が僕の仲間になっていいのか?
そんな事をまた思ってしまう。
・・・・・まっ、仲間になっちまったもんはしょうがないか!
僕はすぐに切り替えた。
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「さて。それでは会議を始めます。よろしいですか?」
クロックが僕に聞く。
僕は頷く。
昼。
館内の会議室に集まった9人の仲間(使徒)達と僕。定期的に今後の事を話し合ったり、共有する場を設けているのだ。
クロックが続ける。
「それでは、今の現状を報告してください。」
アッシュがまずは答える。
「おう!住居の建設は魔族達のおかげで順調に進んでいる。このままいけば、予定以上の島民の受け入れが可能だ!それと同時に、部下達に任せている『農業・畜産・漁業』エリアも生産や出荷も始まっている。そして俺が見ている『工業エリア』も、新型【キューブ】の増産や他にも生活が楽になりそうな魔道具の開発が進んでいて順調だ!」
「そうですか。・・・・・問題なさそうですね。セレンの方はどうですか?」
クロックに振られたセレンは嬉しそうに答える。
「ウチと仲間で、モンスターや動物達を順調にテイムして解き放っているっちゃ!今の子達もすっかり『プレンゼパーク』になれて、幸せそうに暮らしているっちゃ!後はローレットが【結界路】を作ってくれれば、お客さんを呼べるっちゃ!」
「おう!『プレンゼパーク』は俺が一部の魔族に指示して理想通りのパークになったからな!モンスターや動物達も住みやすいだろう!」
「うん!アッシュのおかげで感謝だっちゃ!」
「へぇ~♪ もうそこまで出来たんだ~♪ もうモンスターも狩り尽くしちゃったからいいよ~♪ 【結界路】を作ってあげる~♪」
アッシュとローレットがセレンに答えて盛り上がっている。
うん。やっぱり、自分達の島がどんどん良くなっていくのは嬉しいよね。
今は正しく建設ラッシュだ。
商人のアルフィンが世界中から材料を買い付けて、この島へ送り届けてくれる。クロック曰く、アルフィンがいなかったら、ここまで速く開発が進まなかっただろうと言っていた。アルフィンさまさまである。
後でアルフィンとは落ち着いたら、久しぶりにゆっくりと飲みたいな。
「島民(リスナー)の受け入れは問題ないと。・・・・・後は選考ですね。どうですか?レイン。」
「それは問題ないわ。目を見ればすぐに(リスナーかどうか)分かるから、入島した時に確認するわ。」
「確かにそうですね。」
ん?
ちょっと待て。
目を見れば問題ない?
言っている意味が分からないんだけど。
でも、仲間達は皆頷いているから、合わせるしかないんだけどね!
最後にクロックが僕を見て尋ねる。
「ヒカリ様。現状は問題ないかと思うます。しかし今後の事を考えると、安定的な財源は欲しいですね。もちろん、新型【キューブ】の収入だけでも問題はありませんが、これからもこの島(国)の人口は増えていきます。この島(国)を良くする為には、やはり別の収入も考えていかないと。」
「ふ~ん。・・・・・なら、【消費税】というのはどうかな?」
「「「「「「「「「 消費税??? 」」」」」」」」」
全員が僕に聞く。
「【消費税】というのはさ。その名の通り、全ての商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金さ。今住んでいる僕達や魔族達も、そしてこれから住み始める人達も等しく払わなくてはいけない税金。これなら平等でいいと思うんだよね。」
前世であった消費税。
一番分かりやすいし、平等だと思う。
「・・・・・【消費税】ですか。・・・・・そんなのは初めて聞きました。・・・・・実に素晴らしい。」
クロックが唸っている。
僕は続ける。
「それでさ。【消費税】を導入する代わりに、新型【キューブ】の収入と、これからオープンする『プレゼンパーク』の収入は、全ての島民の住居、子供が学ぶ為の学園やお金を預ける為の銀行。そして道路や水道などのインフラに使うんだ。だから、島民は家を買わずにすむし、水道代も魔石を使った電気代も必要ない。全てその収入で賄って、島民達は【消費税】のみ払う。そしてその【消費税】がこの島の安定した財源でいいんじゃないかな。」
全員僕の話を聞いて黙っている。
そして暫くして、震えた声でクロックが答える。
「・・・・・素晴らしい・・・・・本当に素晴らしい!私は色々と学んできましたが、こんなに感動したのは久しぶりです!!!これなら島民(国民)は、自分の必要な物やサービスを受ける時だけ税を払って、他は一切払う必要はない。そんな事を他の国で聞けば、この島(国)に移り住みたい人達はどんどん増えるでしょう!そして人口が増えれば増える程税収が上がる!・・・・・素晴らしい!本当に素晴らしいっ!!!私も少しは考えに自信がありましたが、ヒカリ様には到底及びません!!!」
「ハハハ・・・・・。」
仲間の全員が、尊敬したキラキラした瞳で僕を見つめている。
やめて下さい。
そんな目で見ないでください。
すみません。
完全に前世のパクリです。
僕は心の中で土下座した。
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