第7話ちいさな食堂に

そうだ、気をとりなおして、あの ちいさな食堂に、おにぎりのつくりかたをおしえてもらいに行こうっと。


おもいでをたよりに、ちいさな食堂には

たどりつけるはずだったのに。


あの ちいさな食堂が、ない。


食堂に ねこが寄りついていた そういう風景があったのに。(食堂ねこ)


空き地になっても、食堂ねこの小皿は そのままになっていた。きっと だれかが えさをやりに来てくれているのだろう。

でも、わてをたすけてくれるひとはいない、

せっかく ちいさな食堂をたよってやってきたのに、どうして こうも わての旅は失敗ばかり、うまくいかないの。


なみだが でそう。


なみだで気が弱りそうになっていると、

電線にとまる黒いなにかが、なんだか わてをねらっている、低く飛んでくる。ばさばさばさ、かあ!


わあっ、からすだ!


たすけてー。


わては にげだした、おでこを押さえて、

たすけてー と わては下り坂をずっと走り続けた。

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