帰郷

夜行列車で

青森から上京した


10人家族の末っ子2人

食べさせられないと

口減らしされた


東京は電気だらけ

夜空には星がなく

空気はひどいにおい


上京していた姉さんが

面倒をみた

じっと我慢のとき

いつか帰れると信じて


数年経ったが

帰ってこいと言われない

手紙も全然届かない

そしてわかった

親に捨てられたのだと


おおい、おおい!

おおい、おおい!


おやじ、おふくろ、兄ちゃん、姉ちゃん

友だち、好きだったあの子

海に面した広い家

津軽の潮の香り

辛抱すれば いつか戻れる

そう信じていたのに


俺は東京のモボ

エレベーターボーイ

上下する箱の中

笑顔をつくる日々

女からはモテたが

心はからっぽだ


ある日やって来た

派手な二人の女

背の高いキツネ目が

俺に言う


「あたしとお茶しない?」


ナンパしてきたのは

お前たちのお母さん


あっという間に結婚したが

家庭を守れる気がしない


親に捨てられた俺だもの

愛されなかった俺だもの

家族なんてわからない

愛し方がわからない


だから俺は姿を消した

だってここは

俺が帰る場所じゃない


おおい、おおい! 津軽の海よ

おおい、おおい! 帰りたいよ

おおい、おおい! 聞こえてるか?

おおい、おおい! 迎えに来いよ!


今日も夢に見る

津軽の海を

空にまたたく

でっかい天の川を


すきま風吹く

段ボールの中でも

心は青森

潮の香り


そして家では

おやじとおふくろが

俺のこと

待っているんだ


・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回は戦後日本に生きる人を描きました。

私の周りだけかもしれませんが、団塊の世代前後の親とその子供との仲がよくないという話をよく耳にします。

親世代の考えていることが知りたいと思い、歌のテーマにしたものです。



SunoAIで曲を付けました。


https://suno.com/song/bb171dfe-9a27-4e95-b0a1-9fefc181c56e

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