流れ者の”マオ”が、物語の舞台である街に着く所からこのお話は始まります。
迷子になりながら、マオが街のあちこちを歩き廻る描写がとても丁寧で、まるで一緒になって見知らぬ街を散策している様な気分に浸れます。
辿り着いた先は、所謂何でも屋である”便利屋ワトソン”。
そこで個性的な従業員たちと様々な依頼を受けながら、街を奔走しつつ描写される街の風景は、これまた魅力的で、何時しかこの架空の街に何処か懐かしく馴染み深い物を感じる様になって行く事でしょう。
ゆったりと進む物語の中で、この作品のもう一つの主人公である”街”に少しづつ慣れ親しんで行く感覚がとても心地良いです。
こんな物語の作り方もあったんだ、と云う目からウロコの、読んでいてとても楽しく時を過ごせる物語だと思います。