第14話 戦力が大幅アップする悪役令息
純白の鎧──神鎧「サンクトゥス」に呼ばれているような気がして、ステラが乗っていた鎧──ホワイトフラッシュから降りて近づくとサンクトゥスのコクピットが開いて、人型の光の塊が出てきた。
人型の光の塊はステラに近づいてくると手を取ってサンクトゥスのコクピットに飛翔していく。
間近で見る人型の光の塊は慈愛に満ちた微笑みを浮かべた美しい女の顔をしていた。
『聖女ステラよ。万難を廃しここまで辿り着いたあなたに祝福を与えます。あなたは私。私はあなた』
コクピットの中に入るとエリスの啓示が下るとともに優しい光が体を包み、心が幸福感で満たされていき、体に力が宿っていくのがわかった。
エリスの写し身──サンクトゥスと繋がることでエリスの力がステラに流れ込んでいく。
────
最奥に配置された神鎧「サンクトゥス」の元に辿り着くとステラが鎧から降りて、光と共に神鎧のコクピット内に消えた。
攻略の仕方がだいぶ力技な部分はあったがストーリーと同じように神鎧「サンクトゥス」の乗り手として認められたようだ。
ワンチャンストーリーの進行上、必要な主人公とのラブがないのでだめなので認められないかも知れないと思っていたがセーフらしい。
この神鎧「サンクトゥス」を解放すると聖女の使える技が結構増えるのでそれの恩恵もステラにしっかりと与えられるといいが。
『皆さん、お待たせ致しました』
どうなるものかと見ているとステラの声が聞こえ、鎧の背に光の翼が生じる。
間近で見ると味方機ていうよりも聖属性のラスボスに見えるな。
準備も万端ということだし使える技に天使を召喚する技が追加されたと思うので、アイアンゴーレムの運搬に使ってもらうか。
「大丈夫そうだな。いきなりで悪いが天使を召喚してアイアンゴーレムを運んでもらえるか?」
『はい、お任せ下さい』
そう快諾すると周りに八体の翼を生やした光の塊が現れて、アイアンゴーレムたちが転がっている方に飛んでいき、一体はステラがいなくなって抜け殻になった鎧を掴んで浮かせ始めた。
地下迷宮攻略後にだるいアイアンゴーレム運搬をすることになるのをこれで避けられた。
神鎧とアイアンゴーレムも回収してここでできることはもうないし、帰ることにするか。
あんまり待たせても銃の製造期間が伸びそうだしな。
「戻るか」
「「「「了解」」」」」
それから一直線で聖騎士教会の工房に戻ってくるとアイアンゴレームの他に一回り大きいタイタンと神鎧も持ってきたことで工房の連中がよほど驚いたようであんぐりと口を開けた。
「なんだこりゃあ……夢でも見てんのか?」「見たこともねえ上等な鎧だ」「一つだけデカいのが混じってるな。ありゃなんだ?」
「約束のアイアンゴーレムの素材を持ってきました」
「おう。アイアンゴーレムは数の多いこいつか。確かにこりゃ俺が見た中で一番硬そうな素材だな。こいつなら開発中の実弾兵装も作れるだろう。明日には仕上がってるはずだ。明日またここに来い。新入りオメエは俺らと一緒に徹夜だ」
「は、はい。エリス様の試練よこれは。これを終われば光の道が開かれるの」
ガンダインにアイアンゴーレムのこと以外報告すると銃開発どころではなさそうなのでアイアンゴーレムだけに止めて報告すると明日には大丈夫だという返事が返って来た。
最初は工房のメンツはなんかすごくないかという感じだったが、ガンダインが銃開発の音頭をとったことでアイアンゴーレムの方に皆寄っていく。
うまい具合に有耶無耶にできたようだ。
ボロが出てもしょうがないのでさっさとお暇することにする。
ロマンナが徹夜を強要されて若干グロッキーになるのが若干気がかりな感があるが自業自得な部分もあるし、しょうがないと思うことにする。
幸いロマンナは若いので多少の無理はどうにでもなるしな。
「わかりました。よろしくお願いします」
ガンダインに返事をするとその場から去る。
──
翌朝起きると寮の扉がノックされた。
何だと思って扉を開けると目に下にクマを作ったロマンナが姿を現した。
「実弾兵装が完成したわ……。親方が呼んでるから来て」
若干グロッキーになっているロマンナについていき、工房に辿りつくとデカイハンマーを持って鉄を叩く鎧たちと鎧大の巨大な銃が出迎えて来た。
『出来たぞ。試しに使ってみろ』
おあつらえ向きに鎧──ホワイトフラッシュと鎧の装甲板でできた的が用意されていたので、鎧に乗って銃を手に取ると、構えて的に照準を定めて撃つ。
「いいですね」
放たれた弾丸は的の真ん中を貫通すると壁を突き抜けていった。
工房の端から端──大体100m離れた場所から離れてこれなら十二分以上だろう。
今の段階でも前魔王の第一バリアを破壊するなら十分ではあるが、できれば安全を確保するために遠距離から一方的に撃ち続けて倒したいからな。
単発から連射性を上げる改良を加えられたら最高だ。
『ふん。これで終わりじゃねえぞ。まだまだ改良の余地がある。一週間で一つで弾の雨を降らせるものを作ってやる。待ってろ』
そう考えているとガンダインも連射性に可能性を見出したようでそう言ってくる。
頼もしいなこの人。
さすがに神工と言われるだけはあるな。
───
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