第31話 神の遺品
「………………………………………?」
毛一本程の情報も無かった父親のもう知りたくもなくなっていた情報が脳の中を掻き回す。盗み聞きなんてするんじゃ無かった。
父親の事を知れたと思ったらそいつは神で榊原と会ったことがあって戦争の発端でありながら終戦の立役者って認識であってんのか?
全部真実だと仮定したら俺は神の子でこの能力はどっかの神の遺品?というか神って実在するのか?フィクションの言葉が急にノンフィクションに引きずり込まれた。荒唐無稽だと一蹴するのは楽だがいくら何でも手放す訳には行かない。偶然を装って聞きに行こう。あいつのことだからどうせまだなんかあるだろ。
「悪いな、肉食ってないのにグリル洗わせて。」
「いつも厄介になってるんで。」
あれ?何してんだ俺は。榊原に聞くことがあるんだろ?もう榊原は家の中に入ってったぞ?
「やっぱ無理だ。覚悟が足りない。」
「……なんか言ったか?」
「いや、なんでも。」
結局何も聞けずに一日が終わってしまう。盗み聞きなんてするんじゃ無かった。聞いた分の情報で満足しろってことなのだろうか。静かなはずの夜にどこか近くで俺を嘲笑う奴がいるみたいな感覚がする。明日になっても聞ける気がしない。榊原の言うとおりになるのは癪だが自分で探すしかないか。明日は最終日、やるからには本気を出すがあまり気乗りしない。
夜は明け、出発前に朝食を食べながら作戦会議ではないが、そういうことをした。
「前年度のトーナメント総数は36人。参加資格として、まず今大会に参加していること。十時までに受付を済ませること。そして毎年その場で発表される試験官一人による試験があるらしい。」
「試験って何やるの?まさか筆記?」
「過去には筆記もあったがほとんど軽く身体を動かす必要のあるものだな。まああまりにも弱い人をふるう為のものだから難易度はそこまでない。」
「よかった。試験で落ちるとかダサいからね。」
「何もなければそろそろ出発しますかねぇ。」
「そうだな。」
電車で小一時間、会場のドームについた。受付には数人並んでいてやはりその場で試験をしているようだ。さて、試験内容はなんだ?遠巻きに見た所ボールを投げていることは分かる。並んでいる所に説明役の職員が来た。
「大会トーナメントの参加の方ですね。この後皆様には簡単な試験を受けてもらいます。一人一つこちらのボールを持っていただいて、このボールをあのゴールに入れることが出来たら合格となります。ただ、試験管の職員がそれを阻止しようとしてきますので、ボールを拾われる前にゴールに入れて下さい。それまでは何をしても自由となります。」
なるほど。サッカーゴールより一回り小さいくらいのゴールが見える。投げて失敗しても拾われるまでチャンスはあるのか。今やっている人が終わったら俺達の番だ。
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