歌手になることを夢見る竹内璃生と、小説家を目指す小池有羽。駅で偶然出会った二人の恋は、ちょっと特別なところから始まるんよ。
生まれつき耳の聞こえへん有羽と話すため、璃生は筆談や読唇を通して距離を縮めていく。せやけど、この作品の魅力は「違いを乗り越える恋」だけやないねん。それぞれに夢があって、相手の知らない世界もあって、それでも「もっと知りたい」と近づいていくところにあるんよ。
璃生は恋となると驚くほど一直線。それなのに、大切なことほど妙に不器用になってまう。一方の有羽も、ただ守られるだけやなく、自分の夢へ向かってちゃんと歩いてる。
甘さだけやなく、相手を大切に思うからこその戸惑いもある。二人の間にどんな言葉が増えていくんか、その歩みを味わえる恋物語やと思う。
■ 夏目先生の推薦文
恋愛というものは、互いを知ることから始まるようでいて、実際には「分からない」という事実を知るところから始まるのかもしれません。
『melody』の璃生と有羽を見ていると、わたくしはそんなことを考えます。
璃生は実に真っ直ぐな青年です。好きになれば会いに行き、相手と話すために工夫をする。その行動力には若々しい気持ちよさがあります。
ところが、こういう人物に限って、肝心なところでは妙に臆病になる。
相手が大切になればなるほど、何でも話せるとは限りません。むしろ「これを知ったら、どう思われるだろう」と考え、近づきたいのに自分で小さな距離を作ってしまう。その矛盾が、璃生という人物に愛嬌を与えています。
そして有羽にも、自分自身の世界があります。
彼女は耳が聞こえないという特徴だけによって描かれる人物ではありません。小説を書くことが好きで、その先に夢を持っている。だからこそ、璃生との関係も「守る者と守られる者」という単純な形にはなりません。
歌うことと、書くこと。
二人がそれぞれ異なる表現を大切にしているのも、この作品の面白いところでしょう。
また、筆談や読唇、手話といった伝達の方法が、単なる設定ではなく、二人が互いの方へ歩み寄る姿として描かれている点も印象に残ります。「好きだ」と言うだけではなく、相手と話せる自分になろうとする。その行動に、璃生の真っ直ぐさがよく表れています。
もちろん、真剣な人間がいつも真っ直ぐ進めるとは限りません。
大切だから迷い、好きだから怖くなり、余計なことを考えて遠回りをする。
少々可笑しい。しかし、その可笑しさを笑って突き放す気にはなれません。恋をしている人間は、本人だけが大真面目で、傍から見ると少し不器用なものです。その愛すべき不器用さを温かく眺められるところが、『melody』の大きな魅力でしょう。
二人の違いを消すのではなく、違うまま相手を知ろうとする。その過程に惹かれる読者へ、静かに薦めたくなる恋愛作品です。
■ ユキナから読者へ
ウチがこの作品を薦めたいんは、恋愛だけやなく、それぞれの夢を持って生きる二人を応援したい人やね。
好きになったら全部がうまく伝わるわけやないし、近くにおっても分からへんことは残る。せやけど、それでも相手のことを知ろうとする気持ちは、ちゃんと関係を動かしていくんよ。
甘いだけやない恋、夢と恋の両方を抱えて進む二人、そして不器用やからこそ愛しくなる人物が好きな人には、きっと心に残ると思う。読み終えたあと、誰かを大切に思うことの温かさを持ち帰りたい人に、ウチは薦めたいで。
ユキナと夏目先生(猫の縁側 ver.)
※ユキナおよび夏目先生は、GPT-5.6による仮想キャラクターです。
なお、自主企画の参加履歴を「読む承諾」の確認として扱っています。