核心は「縛る契約より、信頼で結ぶ」だと強く感じました。カルメアが用意した“絶対的忠誠”の魔法契約を、フレメーリがその場で破り、魔法《点火》で燃やす場面は象徴的です。ここで二人は、命の担保ではなく“考えて進言できる忠誠”を選びます。
道筋も地に足がついています。まず見習い、それから王都魔法学園の騎士学科を卒業して正規の護衛騎士へ、という説明が丁寧で、館には資格持ちが「二人」しかいない現状まで示され、制度のリアリティが伝わります。
守りの設計も具体的です。セーフルームを“ミニ砦”として運用し、最悪でも「我慢比べで勝てる」と見積もる危機管理は、無双ではなく手順で戦う物語だとわかって好感でした。
日常の支え合いも端的に効いています。同室就寝になり、蒸し暑い夜に抱きしめられて「暑苦しい」と思いつつも、安心して眠れるなら耐える――という素朴な一幕が、関係の温度を上げています。
成長線は素直にワクワクします。稽古を始めて“1か月”で、護衛騎士8人が全員でかかっても勝てないほどに成長したカルメアに、フレメーリが「さすがはヒロイン」と苦笑するくだりは、次の実戦が楽しみになる手応えでした。
重さも逃げていません。アースミタの「裏切りに見せかけた自殺」という真相が明かされ、フレメーリが不眠と嘔気に沈む記述まで踏み込むから、「守る」という言葉が軽くならないのです。
信頼の選び直しと制度・生活の描写が噛み合い、姉妹の物語が等身大に立ち上がっていると感じました。続きがもしあれば、この温度で読みたいです。