残された言葉が彼の背中を静かに押す

将来を誓い合った仲の彼女はもうこの世にいない。

一度別れを告げても一緒にいると言ってくれた彼に対して、彼女はいったい何を思ったのか。個人的にとても考えさせられるお話だと思いました。

書き記される情景がとても繊細に書かれていて綺麗だと思うと同時に、切なさが常に近くにあるという印象です。意味深な表現も所々に散りばめられていて、なんだかその時の彼女の心理を探りたい気持ちになりました。

彼女のスマホ画面に綴られるメッセージを手紙のように一気に示すのではなく時間を置きながら浮かび上がるというシーンにすることで、いないはずの彼女を間近に感じさせる素敵な表現になっていると思いました。

彼女の好きだった星空を見ながら、存在を感じ続ける。
記憶の中の人となっても、温かく穏やかな存在であることは変わらずに。

切なくも美しい物語をありがとうございました。