第一部 竺土隠没品(じくどおんもつほん) 第一回 五人 Journey to the West
そこは
――――宇宙船内部
その宇宙船の中にはいくつもの部屋があったが、その中の一部屋に、パッと灯りがついた。その部屋は壁も床も天井も、六面がすべて真っ白な部屋だった。
その部屋の中には
その部屋に灯りがついてからしばらくして、一人、また一人と、その部屋の中に人が入ってきた。入ってきた人は、テーブルを囲む椅子にそれぞれ腰掛けていった。
最終的に四人の人物がテーブルを囲んで着席した。
「おい、
四人のうちの一人が顔を天井に向けて言葉を放った。彼女は若い女だった。
ピー、ガガガガガ、ピーピーピー、キュキュキュキュキュキュ……
複雑な電子音が部屋のなかに
そして、電子音がなり終わると、ヴオンという
それは幼い少女のホログラム映像だった。
「はい。お疲れ様です」
ホログラム映像の少女は
四人の視線が少女の方を向くと、少女はおもむろに話し始めた。
「それではこれよりブリーフィングを開始します……
と言いたいところですが、その前にしなければいけないことがあります」
「なんだよ」
さっきの若い女が聞いた。
「出欠を取ります!」
「はあ?なんでそんなモン取んなきゃいけねえんだよ?あたしたちは五人しかいねえんだぜ?どう見たって全員揃ってるじゃねえか!」
「念のためです!」
「何が念のためだよ……」
「やれやれ、玉龍のマイペースぶりにも困ったものだな」
四人のうちの一人、若い男がつぶやいた。
「とにかく出欠を取ります!皆さん、いいですね!」
「わあったよ。やればいいんだろ、やれば……」
「それでは、これより出欠を取ります。呼ばれた人は起立して返事をして下さい!」
「では、まず
「うーす」
猪八戒と呼ばれたのは、少女と話していた若い女だった。
年齢は外見から見て十六歳。背の高い女だった。
彼女は深緑色のハンチング帽を被り、帽子と同じ深緑色のジャケットを着ていた。ジャケットの下には白いブラウス、首には長くて黄色いスカーフを巻いていた。下には、白いスラックス。左手首に金色の腕輪を
帽子からは茶色い長い髪が背中に流れていた。耳には金色のイヤリング。その顔つきは精悍で、目に欲をたたえていた。
「つぎは、
「うむ」
沙悟浄と呼ばれたのは、少女をマイペースと言っていた若い男だった。
年齢は外見から見て二十歳。背の高い男だった。
彼は
彼の髪は銀髪で、長い髪だった。その顔つきはいかにも
「つぎは、
「ああ」
孫悟空と呼ばれたのは、若い男だった。
年齢は外見から見て十八歳。
彼は黄色い道士服を着ていた。首には短く黒いスカーフを巻いていた。右手首に金色の腕輪を嵌めていた。
彼の髪は短く、赤い髪だった。彼は頭に金色の
「つぎは、わたくし、
ホログラム映像の少女は
彼女の年齢は外見から見て八歳。
彼女は
黒く長い髪を
彼女の表情には
「そして、最後は……
「玉龍。ぼくのことは三蔵法師じゃなくて、
三蔵法師と呼ばれ、自らを江流と名乗ったのは幼い少年だった。
年齢は外見から見て十一歳。
彼は一見少女とも
その髪は美しい金髪で、細くふわふわとした髪だった。顔の
彼の美しい容姿は、たとえるなら一流の芸術家が彫った大理石の彫像のようだった。
白いローブで全身を包み、上半身には金色のケープを掛けていた。右手首に金色の腕輪を嵌めていた。
彼は完璧な美少年だったが、そんな彼の容姿には一つだけ違和感を感じさせる部分があった。
彼の左頬には大きな黒い
「無事全員の出席が確認できましたので、これよりブリーフィングを開始します!」
玉龍は元気な声で説明を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます