第33話 院内恋愛あるある
いつものようにお疲れ様会を開いた4人組。美里、彩香、恵、翔太は、院内恋愛の話題に突入した。飲みの席という気軽さもあって、ぶっちゃけトークが炸裂する。
美里がビールを一口飲み干し、ぽつりとつぶやく。
「ねぇ、病院ってなんであんなに恋愛の噂が多いんだろうね?」
「それな!」と彩香が即座に応じる。「院内で恋愛なんてしてたら、すぐ全員に知られるよね。ほんと怖いわ」
翔太が苦笑いしながら、「俺なんか、この前急に先輩に『当直室で何してるの?』って聞かれてさ。『何って、寝てますけど?』って答えたら、ニヤニヤしながら『本当に?』とか言われてさ。いや、俺、そんな噂立てられるほどイケてないから!」と自虐混じりに話す。
「当直室といえば、必ずと言っていいほど誰かの『当直室で××してた』って噂が回るよね」と彩香が身を乗り出す。
「私も聞いたことある!」と美里が乗り気になる。「でもさ、当直室ってそんなに居心地良くないじゃん?なんでわざわざそこで?」
「スリルがあるからじゃない?」と彩香が肩をすくめる。「でも、現場見たことある人なんていないんだよね。全部噂だけ」
恵が溜息をつく。「噂なんてそんなもんだよ。でもさ、その噂が流れた人たちって、しばらく腫れ物扱いになるじゃん。あれが本当に可哀想」
翔太が苦笑しながら、「俺もそういう噂に巻き込まれたら、病院辞めるわ。耐えられない」と漏らすと、全員が笑い出した。
美里が話題を切り替える。「そういえばさ、若手だけでドクターとの合コンがあったじゃん?あれ、なんで私たちには声かけてくれなかったんだろうね?」
彩香が「あー、あれね」と顔をしかめる。「案の定、お局たちに話が伝わって、病棟の空気がピリピリしてたよね」
恵が「お局たち、何であんなに若手の恋愛に厳しいんだろう?」と疑問を投げかける。
「そりゃ、自分たちが呼ばれないからじゃない?」と彩香があっさり言い放つ。「でもさ、若手だけの合コンって、結局は病棟全体の問題になるんだよね。仕事中に『この人、昨日あのドクターと合コンだったんだ』とか思っちゃうと、普通に話しかけづらくなるもん」
翔太が首をかしげる。「俺なんか、合コンとか行ったことないけど、参加したら逆に怖いわ。男ってだけで色々噂されそうだし」
「院内不倫もあるあるだよね」と恵が話題を振る。「私が聞いた話だと、ある看護師がドクターと不倫しててさ。その奥さんも同じ病院で働いてたから、修羅場だったらしいよ」
「それ、やばくない?」と美里が驚く。「どうやって隠し通してたんだろう?」
彩香が苦笑いする。「隠し通せてなかったからバレたんでしょ。でも、院内不倫って、結局は噂話になるだけで、本人たちは案外気にしてないのかもね」
「いや、それはないと思う」と翔太が首を振る。「俺の知ってるケースだと、不倫してた看護師さん、結局病院辞めてたよ。精神的に耐えられなかったんじゃない?」
「あとさ、特定の人の前で態度が変わるのも、すぐバレるよね」と彩香が話す。「ある看護師が、特定のドクターの前だけ急に猫なで声になるの、全員気づいてたし」
「いるいる!」と美里が笑いながら言う。「でも、それに気づかないのは本人だけなんだよね」
恵が「そういう人がいると、こっちまで気まずくなるんだよね。そのドクターと普通に話したいのに、『この看護師と何かあるんじゃない?』とか思われたくないからさ」と肩をすくめる。
翔太が「俺なんか、そういうの見ると逆に距離置いちゃうな。変に絡むと自分まで噂されそうで怖い」と真面目に語ると、全員が「それ、正解」と頷いた。
「結局、病院って恋愛の舞台には向いてないのかもね」と美里がしみじみ語る。「噂ばっかりで、まともに恋愛できる気がしないもん」
「でも、噂が立つぐらいだから、それだけ人間関係が濃密ってことだよね」と彩香がグラスを掲げる。「じゃあ、この複雑な院内恋愛模様をネタにできる私たちに、乾杯!」
全員が笑いながらグラスを掲げ、「乾杯!」と声を揃える。その声は居酒屋の喧騒に紛れながらも、仲間たちの絆を感じさせる響きだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます