第24話 異世界からの侵略?


 不審者を倒した翌日。

 俺はゲーム世界のミーシャさんの店へと来ていた。


 理由はもちろん謎のキーホルダーの確認のためだ。

 魔力を帯びているアイテムが日本にあるなんて怪しいし。


 あ、それと俺が倒した不審者たちは無事に捕まったらしい。

 エリカさんが昨日、俺に連絡をくれたのだ。


 ……ちなみに俺が不審者を倒したのもしっかりとバレていた。

 流石にバットや包丁がへし折れてるのは、俺がやったと気づかれてしまったのだ。


 それで今度、またお礼をしたいと言われてしまった。

 恩に着せるつもりはなかったけど、誘われたなら無下にも出来ないからな!


「あ、あの。こんな呪いのアイテム、どこで手に入れたのですか?」


 キーホルダーを鑑定していたミーシャさんが、目を細めて俺を睨んでくる。


「やはり呪いの類ですか?」


 あの三人組がおかしかったことから、なんとなく呪いっぽい気はしていた。

 マジブレにも呪いはあるし、呪いのアイテム自体はおかしくはない。


 問題はなぜ日本にマジブレの呪いがかかったアイテムがあるかだが。


「はい。しかもかなり強い呪いです。商人が取り扱うのも違法になる、相当危険な代物ですよ」


 そのレベルで強力な呪物なのか。

 この世界ですら危険なアイテムなら、日本にあったらなおヤバイ気がする。


「ちなみにどんな呪いですか?」

「人の精神に影響を与えて少し狂暴化させて、最終的に魔物にする呪いですね。と言っても善人には効果がないので、悪人しか魔物にはなりませんが」


 以前に日本で倒したオーガが、人になったことを思い出した。

 ……あの時のオーガと、今回のキーホルダーは関係しているのだろうか?


 それにあの不審者三人の態度が少し変だと思っていたが、このキーホルダーを持つと少し狂暴になるならわかる。


 最後に発狂していたが、あのままだと呪いで魔物化していたのだろうか。

 このキーホルダーについて、あの三人に話を聞きたいところだな。


 ……ただあいつら、刑務所に入ってるよな。無理そう。


「ちなみにどこの国のモノとか分かりませんか?」


 マジブレの呪いがついたアイテムならば、この世界で作られたと考えるのが妥当なはずだ。


 するとミーシャさんは少し悩んだ後に。


「なんとなくですがベルセルク帝国産な気はします。確証はありませんけど」


 以前にも話題にしたがベルセルク帝国はマジブレのラスボス国家だ。

 この国の皇帝が世界を支配しようとして、それを主人公が止めてハッピーエンドになる。


 つまりは悪者国家であり、呪いのアイテムを作っていること自体に違和感はない。


「そういえばベルセルク帝国って戦争の準備をしているのですよね?」


 ミーシャさんについでに確認してみる。

 確か砂糖を売った時に、そんなことを言っていたはずだ。


「そうです。ベルセルク帝国は物資などを買いあさっていて、戦争準備に入っていると思われます。ただ……ちょっと気になることもあるのですよ」

「気になること?」

「はい。物資は戦争の準備みたいに買いあさっているのですが、兵士を集めている気配がないのです。物資だけ集めても無意味なはずなのですが」


 いくら食料や剣があっても、人がいなければ役に立たないからな。

 兵士は畑から獲れるわけでもなし、地方から集める必要もある。

 

「先に物資だけ集めておいて、兵士は後から集結させるとかでは?」

「その可能性もゼロではありませんが、その時間差で集めた物資が腐りそうなんですよね。コッソリ兵士を集める、というのは無理でしょうし」


 うーむ。ベルセルク帝国の狙いはよくわからないな。

 物資だけ集めるような意味のないことをするとも思えない。


 そうなると兵士を大量に用意できる方法があるのだろうか?

 ふと呪いのキーホルダーが目に入った。


「……もしかしてキーホルダーで人を魔物にして、兵士にするつもりとか?」


 もしそうなら悪魔的な考えである。だがミーシャさんは首を横に振った。


「難しいと思いますよ? このキーホルダーで魔物にできるのは悪人だけです。それに手間をかけて魔物化しても、そこまで強くなるわけじゃないですから」


 ミーシャさんの言っていることは間違っていない。だけど正しくない。

 確かに魔物化しても強くならない。だがそれはこの世界基準での話だ。


 この世界でオーガが二十体出て来ても、なんだかんだですぐに討伐されるだろう。

 そこらの冒険者や魔法使いが集まれば勝てる。


 だが日本では話は別だ。

 例えばオーガには物理への耐性があるが、日本には魔法なんてものはない。


 つまり物理耐性の高い相手に対しても、物理攻撃で挑まなければならない。

 それはかなり厄介な話だろう。


 そもそも以前のオーガも銃が効いていなかったしな。

 あんなのが大勢現れたら流石にマズイのではなかろうか。


「遠くにこのキーホルダーを送る方法とかありませんかね?」


 本来なら別世界に、と聞きたいところだが、状況を知らない彼女に伝えても困惑されるだけだろう。


「転移魔法で送れば可能だと思いますよ。ただキーホルダーだけ送る意味はないでしょうが」


 そうなるとやはり転移魔法で送ると返される。

 まあ俺もこの世界に転移魔法で飛んでいるので、この世界から日本に転移できる奴がいてもおかしくはないのか?


 ただ人を魔物化するなんて面倒なことをせずに、この世界の魔物を送ればいい気もするが。


 それこそベルセルク帝国なら兵士とか送ればいいのに。


「わかりました。ありがとうございます」

 

 とりあえずベルセルク帝国が怪しいのが分かっただけでも進歩だろう。

 またなにか起きたら考えよう。

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