同人誌にまつわるエトセトラ
合同誌を作ってみる
同人誌の一つの形として合同誌と言う物がある。参加者を募り、各々原稿を持ち寄って一つのアンソロジーとして発刊する、という形式の同人誌である。
見る側にとっては色々な作家の作品や見たいコンセプトの同人誌が手に入るし、作る側にとっては自分にとってのドリームチームで「ぼくのかんがえたさいきょうの同人誌」を作る事が出来る。夢のような存在の同人誌である。
ただし、合同誌は作るのに手間がかかる上に難しい。素人や新人が手を出し辛い形式の刊行物であったりする。
まず人集め。
予め「この人の作品が見たい!」という人が決まっているのであれば、片っ端から声をかける必要がある。すでに数人ほど意気投合できている同人作家仲間がいるのであれば速攻で人が集まったりするし、二次創作など特定のジャンルであれば横の繋がり等もある程度確保できるので人は集めやすいが、つながりの浅い人や全く縁のない人を集める場合はコネが必要になってきたりする。
手っ取り早い方法としては、イベントで人を集めて参加者管理をするネットサービス「TwiPla」経由で募集をかけて人を集める方法もあるし、SNS経由で「これこれこういう企画やるので参加したい人募ります」と集める手もある。
人が集まったら色々と管理する必要がある。
まず参加者と連絡手段を確立させる事。SNSでもいいし、メッセージアプリでもよい。各々の参加者とコンタクトできるようにしておき、何かあったら逐一連絡できる体制を整えておこう。直接ファイルのやり取りもできるDiscordあたりが連絡ツールとしてオススメである。
そして参加者にスケジュールを伝えるが、全員が全員同じ進捗なワケではないので、必ずスケジュールは余裕を持っておき、ここまでなら待てるというラインを設定しておこう。全員に伝えるのは「最速の締め切り」であり、予定している最終締め切りは自分だけの秘密しておこう。そのラインを余裕で超える人が出てくるケースもあるので。進捗の管理は大切で、人が多いと「連絡がつかなくなった」「原稿が上がって来ない」というイレギュラーな事態が起こり始める。対処と覚悟が必要である。
次にレギュレーションの徹底。
主催側は合同誌のコンセプト、内容に合うようにレギュレーションを設定する。作品の内容としてNGなもの、OKなものの線引きを徹底し、どれくらいの文章量にするかを明確化し、参加者に伝える事。ウケ狙いでレギュレーションの穴を突こうとしたり、全く意図が伝わってない人も出てきたりするのでしっかり明確に。あらかじめ人を集める時点で提示するとわかりやすいだろう。
ここまでの時点で相当に苦労はすると思うが、無事に全員から原稿を受け取っても、原稿を校正するという作業が待ち構えている。他人の作った原稿を自分でチェックするというのは中々に神経を使う作業であるとは聞くし、受け取った本文が自分のフォーマットで崩れないかどうか、など注意を払うポイントもある。
また、往々にして合同誌は人数が増えるとページも増える。(掌編縛りとかイラスト系合同誌で無い限り)分厚いページ数になりがちなので印刷費も非常に嵩む。さらに本を現物支給して終わりならまだしも、原稿料を各々に支払う事になるとその文お金もかかるし、今度は頒布会場に来れない参加者に出来上がった本を送るという手間もある。
こういった手間や労力を経て合同誌というものは完成する。参加するのは楽だが、自分から始めるのはとても苦労する、それが合同誌というものである。
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