なんの因果か平安時代、それも源氏物語の世界に転生してしまった大学院生の脩子さん。それも気付けばあの『藤壺』ではありませんか。
桐壺帝に執着され、その息子の光る君の初恋の人でもある自分。
桐壺の更衣の身代わりのジェネリック女御になる気もなければ、息子の光る君の初恋もへし折っておこうと考えます(笑)。
しかし、脩子さんの思惑に反して、幼い光る君は藤壺の宮に懐いて度々訪れてくるのです。そこへ事件が起こり……。
物語の藤壺とは全く正反対のはちゃめちゃな宮様である脩子さんと、なぜかそんな宮様と気が合う光る君。二人の掛け合いがとても楽しいです。ショタおね好きにはたまりません♡
もちろん、ミステリーとしての物語も素晴らしく、なるほどというトリックが仕掛けられており、謎解きストーリーからも目が離せません。
時代考証もしっかり、平安の風俗や時代背景も面白おかしく脩子さんが教えてくれます♪
あちらこちらの姫君にふらふらしている源氏物語に納得がいかない方、ぜひこの新源氏物語をおすすめします!
この作品、めっっちゃくちゃクオリティが高いです。
これほどの小説を無料で読んじゃっていいの? とすら思います。
時代考証がしっかりしていて、源氏物語や平安時代について深い知識があって書かれていることが窺えるような描写でありながら、あえて本来の世界観とは外しているようなところもあって、しっかりエンタメとして昇華されているところがすごいです。
おそらく、この作品の筆者様は様々な点に注意を払った上で執筆されたんだろうと思います。
主人公が現代の日本から転生した人間なので、語り口調が現代的ですらすらと読めるのに、作中に出てくる単語とか他のキャラのセリフとかがしっかりと平安時代を感じさせるような物にもなっているので、主人公と一緒に自分も転生した人間として源氏物語の世界に入った気分になれます。
ストーリーも単に源氏物語の世界をそのまま体験するのではなく、主人公の行動によって元の話とは違う方向に進んでいくので、源氏物語について詳しい人でも新鮮な気分で読めると思います。
この作品のシナリオについて、もう少しだけ詳しく話そうと思います。
と、その前に、まず、源氏物語のあの男について、語っておこうと思います。
あの男とはもちろん光源氏のことです、彼は現代的に言うとマザコンと呼ばれるような奴で、継母のことが大好きなのですが、当然その恋は禁忌です。
結果は言わずもがなですが、失恋してしまいます。そしてその失恋をずっと引きずり、以降、彼は他の女性に彼女の幻影をずっと追い求めていくことになります。
さて、なぜそんな話をしたかというと、この作品の主人公はなんと、その光源氏が猛烈に思慕する継母、藤壺の宮に転生してしまったのです!
いったい、どうなる! どうなるんだ! と思ってはらはらしながら先を読んでみたら、なんと主人公は光源氏に嫌われようと、彼の好感度を下げるような行動をとろうとしてしまいます。
そんな、源氏物語を根幹から揺るがすようなことをしてしまうなんて! と思いましたが、それによってただ元の話をなぞるだけではない、オリジナリティ溢れるストーリーになっています。
主人公が源氏物語にない行動をした結果、どうなるか……それをここで語るのは、さすがに語りすぎになるでしょう。
この作品のジャンルはミステリーなのですが、ちゃんと事前に出た情報をもとにして考えれば、犯人やその犯行の手口が推測できるようになっているので、推理小説としてもよくできています。
さぁ、みなさんも、是非この源氏物語の世界で、謎解きをやってみてください。
私だけが知っていることなんて、随分と限られている。
ただ私は、この時代の人より、『それは、本当に理解できない事象なのだろうか』と、もう一段深く考えることに慣れている。それだけだ――。
「脩子(私)の生還は、きっとエビの煎餅がエビに戻るのと同じくらい、絶望的だったに違いない」
そんな独特な表現を使う専攻・『日本古典文学』な元大学院生は、平安時代に転生していた。
公衆衛生はハードモード、娯楽はくずし字読みづらすぎて漢籍、周囲にはキレッキレの小言を言うばあや的存在な命婦。そして名前なんてあってないような、超ブレブレの個人名の表記。
しかも故人である寵妃の身代わりとして、帝に後宮に上がれと言われる始末。当時の常識と現代の人権意識と倫理観がせめぎ合う中、彼女はここが『源氏物語』の世界であることに気づく。
そして、自分が何者かもわかってしまった。
「ここが『源氏物語』の世界なら、私が〝藤壺の宮〟だということになってしまうじゃないか……」
超重要人物として転生してしまった脩子="藤壺の宮"。
とりあえずフラグを立てないように(そして本人のうっかりで)変人奇人であることをアピール、光る君から「この人が自分の母親と似てるとかないわー」と思われることに成功するが、その上でなぜか彼から懐かれてしまう。
光る君は原作には描かれていないところで、暗殺や陰謀に巻き込まれていたのだ。そんなわけで脩子=藤壺の宮のところに入り浸って、彼女が所有する本を読みまくっていたのである。
こうして「近所の男の子に本を貸す擬似的姉弟」関係になっちゃった脩子=藤壺の宮と光る君。
そんな中、光る君はこう言った。
「狐狸が人に化けて、誰かを殺すだなんてこと、あり得ると思います?」
本人は「現代人の感覚が抜けないから」と思っているが、多分現代でもかなり変人奇人、しかし『源氏物語』ガチ考察勢な脩子=藤壺の宮。
「この時代を否定するつもりは無い。だが、『物の怪のせい』だと真相を有耶無耶にして、犯人を野放しにされては困る」
そんな彼女が推理する真相とは――。
「あなたの物の考え方は、面白いから。いつの間にか、何を見ても聞いても『宮さまなら、どう考えるかな。どんなことを思うだろう。どんな感想をいうのかな』と、思うようになりました。」
独特な感性とセリフ回しに笑いながらも、古典の話がたくさん入った『源氏物語』パロディラブコメ、ぜひ!
『源氏物語』とミステリー。
どちらも好きなので読んでみたお話ですが、大変面白かったです。
だって、『源氏物語』の世界に先帝の女四の宮──つまり「藤壺」として転生してしまった令和の大学院生が、その運命を回避しつつ、当時の考え方では「物の怪」の仕業とされてしまう殺人事件の真相を解き明していくストーリーで、しかも、彼女のもとに事件の話を持ってきて一緒に謎解きするのがなんと、『源氏物語』の主人公・光源氏なんですよ。
クセのあるヒロインとあざとかっこいい (かわいい) 年下男子の掛け合いが楽しく、本来の展開とは異なるルートをたどるふたりの行く末もすごく気になりました。
『源氏物語』をご存知の方は、作中人物の思わぬ登場にハッとするかもしれないですね。
よく知らないという方も、わかりやすい説明がありますから気負わず読んでいただきたいです。
オススメです!
脩子と光る君をはじめ、キャラクター達がとにかくチャーミングですぐにハマりました。
前作のオカルトミステリー『祓い屋令嬢ニコラの困りごと』が面白かったので今回の作品もとても期待していたのですが、平安が舞台の今作は世界観もがらりと変わりまた違う面白さがありますね。日本史に詳しくない私にとってはその時代の風習や日常について知らないことが多く、歴史めっちゃおもろいやんってなりました。
ミステリー要素はもちろん、2人のラブコメ展開にもじわじわ惹かれて気付けば一気に読み進めてしまったので、早く続編!せめて番外編でも!という気持ちです。なんならアニメ化もしてほしい。
トラックにぶつかって……という「お約束」を経て、転生した先は「源氏物語」の世界!?
しかも藤壺の宮として。
「源氏物語」を知る身なら、光源氏を避けたいところですが、やはり奴(光源氏)が藤壺に惹かれるのは運命(?)なのか、ふたりは出会ってしまいます。
しかしここからがこの物語の面白いところで、なんとこの二人はパディとなって、事件の解決に挑むことになります。
古典で見た和歌や物語を随所ににおわせながら、事件を追う。
まさか「源氏物語」の世界にミステリを持ち込み、しかもこのパディでというのが凄い。
現代人が転生したからこそ言えること考えることが、この世界にうまく溶け込んでいるところも凄い。
気づけば、次はまだかまだかと心待ちにしていました^^;
ミステリとしても、凄く面白かったです!
ぜひ、ご一読を。