第二十六話 股の陰部と赤い顔
その姿を目の当たりにした雄輔は驚愕した。鳥肌がたつほど恐れおののいた。下着が見えたからではない。なにくわぬ笑顔で彼を見つめるその視線が、ぞっとしたのだ。
「ねえ、煙草一本貰ってもいいかしら?」
もちろん、いいに決まっている。智恵がその場にいる理由ができるなら、僕はなんだってしよう。雄輔がやけに大げさに首を縦に振った後に、智恵の小さな掌が彼の目の前に現れた。
どうやら、一瞬その手ではたかれるのではないかと予感した。
そうではなく、白い掌は雄輔の口元にやさしく、大事そうに近づいて、加えていた煙草をつまんで女の胸元へと帰っていった。
そして、女はその煙草を軽く咥えた。その一連を眺めていた雄輔には、なにが起きたのか分からずぽかんとしている。彼をさらに困惑させたのは、煙草を咥えたまま目を瞑った智恵の表情だ。
実は、雄輔は一瞬X(キス)を求められているのかと勘違いをした。智恵は瞳を閉じたまま、顔をわずかに近づけてために、足を踏ん張って座りなおしたのだが、またもやわずかに
肌着が見えてしまった。
今日の智恵は顔から下に真っ白な装いをしていた。しかし、ただ一点だけ様子が違う。ブラがはっきりと透けて見えた。そして、その色は紫、もしくは鮮やかな青色をしていたのだ。
あまりに鮮明に見えてしあっていたので間違いはない。
チェックの柄が浮いて見えていることから、下着は無地ではないようだ。女性の下着とは刺激的である。あんなものはもともとただの布地であるのに不思議だ。
少しの間、雄輔は胸元を一心不乱に覗いてしまったが、いつの間にか視線をもっと下へと移していた。
もちろんそこは、ヤンキー座りをしている膝小僧の隔たりである。しかし、そう簡単に暗部(陰部)の中身を視認することは許されない。視線に気が付いたからなのか、智恵は右の掌のこうでそこを隠してしまった。
雄輔は残念だとはまったく思わない。恥ずかしさと困った表情は、よりに女の色気がまして見えるものだ。
智恵の顔を覗き込むと、彼女はとても顔を赤く染めて、目は伏していた。だが、羞恥心が表所にあらわれていたわけではなかったようだが。
雄輔は異性に対する癖がちょっと他人とは違っていたのだろうか。暗部より、智恵の顔の方がより刺激的だと感じられた。
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