第11話

ぴるるるるるるっ。




「…………」




勘弁してよ。



今日はコンビニの仕事が休みで、"flower"は夕方から。



それまでしっかり寝ようと……。




枕元に置いといたガラケーをワシッと掴む。



ちなみにこのガラケーはあたしのではない。




"flower"の支給品である。


連絡用の。



電話帳に入ってるのは"flower"、コンビニ、新聞配達の3つである。



これが鳴るということは緊急だ。



"flower"かコンビニか。




「……あい」



「リュウちゃん!!ごめんっ!!」




"flower"のオーナーからだった。



切羽詰まった声。



バイト二人が今日も休むと……。




「了解です。すぐ向かいます」




オーナーの返事も聞かず、それだけ言うとあたしは電話を切った。




1分1秒が惜しいから。




顔を洗って髪を整え、着替えて家を出る。



その時間3分。




「リュウッ!!」




家に鍵を掛けてたら呼ばれた。




「ばあちゃん」




大家のばあちゃんだった。




「あんた、今日夕方からじゃなかったのかい?」



「緊急呼び出し」



「大丈夫なのかい?顔色が悪い……」




ばあちゃんがあたしの頬に触れる。



温かい。




「大丈夫。いってくる」



「気を付けてな……」




心配してくれるばあちゃんに申し訳なく思いながら走る。



てか、就業時間15分前に電話してくるって人としてどうよ?



あまりの常識の無さに、それが自分よりも年上なことに眩暈がした。

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