トラディショナルな心霊遊びと似ていますが、ちょっとした要素で非なる新しさが怖さを引き立ててくれます。
文章の運びが巧みで、行為が進むにつれ背筋がゾワゾワしてきます。
怖いと思ってしまうセオリーを、ある意味で期待通りに運んで下さるのでいよいよ緊張がはじけんばかりに膨らみますが、その矢先に、スッと緊張が過ぎ去ります。
こんなに怖くて緊張するのに、気持ちいいという不思議なお話を体験できました。
ホラーものが苦手な方も安心して(?)読めると思います。
オススメです。
もちろんホラー好きの方には間違いなくオススメです。
是非一度拝読してみてください。
少女たちの心理描写と、そこに迫ってくるであろう「何か」の感じが、強烈に心に響いてくる作品です。
ある日、学校で「ミマヨイサマ」という、こっくりさんに似た儀式を行った灯里、凛、一千歌、葉月の四人。
ミマヨイサマの儀式が本物かどうか疑う中、そこではある不吉な予言が出てくる。
四人の中にある「ある人物」が近く命を落とすという。
本作の特徴は、四人の少女の抱えるそれぞれの事情や普段の日常がとても丁寧に描かれて行く点です。
明らかに怪異が隣にあり、何かきっと起こるだろうことが予感される。そんな中で、それぞれの内面がしっかりと掘り下げられることにより、「これから起こること」への緊張感がどんどん高まって行くことになります。
ホラーにおいて「丁寧に日常や心理の描写が描かれて行く」ということは、「怪獣映画において町のジオラマが作り込まれて行く」というのに通ずるとも言えます。
つまり、一見平和そうに見えるやり取りが描かれれば描かれるほど、それがいずれ壊されるのではないか、その裏に隠された何かが噴出するのではないか。そんな予感がいっそう強められることとなっていくのです。
読めば読むほど彼女たちのことが理解でき、彼女たちの抱える想いにも共感できるようになっていく。
そして、その先に待つ物とは。
水面下の何かを想像せずにいられない、じわじわと来るホラーです。