第8話 骸骨が強すぎてヤバい

 こんにちは、クラーラだよ☆

 音速猪突が楽しすぎて自分を見失って、そしたら洞窟まで見失っちゃった。

 野宿生活が始まって、そろそろ一ヶ月くらい経ったと思う。

 邪教徒に誘拐されてからで数えると……まるで分からねぇ。

 時間の感覚がない。

 とにかく長い時間だ。

 帰りたいよぉ、帰りたいよぉ。

 せめて天井があるところで眠りたいよぅ。洞窟が恋しいよぅ。


「誰か……誰かいませんかぁ……」


 返事はない。

 日本だったら、こんなに何ヶ月も歩き回れば、無人島でもない限り道路とか集落に着くだろう。

 でも、人の気配さえ感じない。

 ファンタジー世界は広大すぎるぜ……。


「え、あれ!? 人!? 人ですね! あのっ! 私、迷子なのですが!」


 あの直立した二足歩行は、猿や熊ではない。

 人間の歩き方だ。

 木こりかな。猟師かな。

 とにかく私は、当てもなく歩き回った結果、人里の近くに辿り着けたのだ。そうに違いない。


 私は見つけた人影に助けを求めながら駆け寄った。

 が。近づくにつれて違和感が広がる。

 やたらと細い。細身にしても細すぎる。

 いや、細いというか、骨しかない。

 動く骸骨だ。

 魔物じゃん。

 がっかりだよ。期待しただけ落胆が大きいよ。

 しかもあの動く骸骨、生意気にも剣を持っている。こっちの持ち物はボロボロのドレスだけなのに!

 この怒りをぶつけねば。


 おいでませムカデくん。

 骸骨を襲うのよ!

 むむむ? 骸骨は思ったより動きが速いぞ。

 ムカデの足で押さえつけようとしても、簡単に避けられてしまう。

 そして骸骨は剣で攻撃してくる。

 私の防御障壁は硬いので、骸骨の剣を弾き返せるけど……。

 こっちの攻撃は当たらず、相手の攻撃は通らない。

 決着がつかないぞ。

 ならば私が割って入る。骸骨がムカデに気を取られている横から……音速猪突からの聖女パンチ!


 よっしゃぁっ、骸骨はバラバラ。ただの骨になった。

 その代わり剣もバラバラ。奪って使おうと思ってたのに……錆びてたから仕方ないか。

 せめて残った骨を食べて栄養に……いや、骨は食べられないよ。そもそも、これって人骨なのでは? 生肉ムシャムシャガールの私でも食人行為は嫌ですよ。

 なのでムカデくんに食べさせておこう。


《骸骨剣士から『スキル:真空斬』をラーニングしました》

《説明。真空斬とは、素早い斬撃によって空気の断層を作り、遠く離れた物体を切断する技です》


 なぬ。

 つまりマンガにありがちな、斬撃を飛ばす系のスキルか。

 私も攻撃スキルが充実してきたなぁ。

 でも剣がないから斬撃できない。

 木の枝で代用できないかな?


 丁度、真っ直ぐな木の棒が落ちていた。

 これを両手で構えて、バシュッと振り下ろす。

 空気が揺らぐ。そして離れた場所の木の幹に溝が彫り込まれた。

 真空斬、成功だ。

 でもその反動で、木の棒が折れてしまった。

 やっぱり金属の剣じゃないと駄目かなぁ。

 あ、思いついた。

 まず別の木の棒を拾って、それを防御障壁で包んでガード。

 それから真空斬!


 やった。棒が折れなかった。

 これって木の棒がなくても、棒状の防御障壁を作ればいけるんじゃない?

 でも芯があったほうがイメージしやすいかな? 

 とりあえず、この棒は持っていこう。

 邪魔なら捨てればいいんだし。


 にしても、絶対に人だと思ったんだよなぁ。

 動く骸骨ってさぁ。

 上げて落とすのは酷すぎるよぉ。


 でも、待てよ。

 あの骸骨が人骨が魔物化したものだとすれば、この辺りは人間が立ち入る土地ってことになるわけだ。

 やっぱり人里が近いのでは?

 少なくとも前人未踏の土地ではないのだ。私以外にも訪れる人がいるんだ。ウロウロしていれば、きっと猟師さんとかに遭遇して、村まで連れて行ってくれるんだ。

 そうに違いないんだ。


 他人を求めて三千里。

 ウロウロウロ……。


 あ! 人だ!

 わーい……って、また骸骨かよ!

 そんなもんだろうと思ってましたけどね。

 よし。次はムカデくんに頼らずに倒してみよう。

 真空斬なんて剣士系のスキルを覚えたんだから、剣術を磨いておきたい。

 骸骨とチャンバラすれば、少しは上達すると思う。


 いくぜ。正面から殴り込みじゃぁ!


《死亡を確認。自働蘇生を実行します》


 ……え? なにが起きた!?

 私、今、胴体から真っ二つにされた気がする!

 ヤバい。あの骸骨ヤバいですぞ!

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