第38話

「……なにか」





「うわ、舐めてるお前。もっと他の言葉喋れよ根暗野郎」





「うーん、取り敢えずわたしの名前は根暗野郎なんかじゃないんですけど…」





「なにその喋り方。さっきと全然ちげくね?普通に喋れよ」






なにこの人。

人の領域に土足でズカズカと踏み込むようなその態度。

随分と偉そうじゃないですか。





今だから正直に言います。

この時わたしは虫の居所が悪かった。

彼女達には体育館倉庫に閉じ込められ、涼ちゃんは莉子さんと復縁して。

お前にやたらと突っかかってくるこの男。





全てにおいて、虫の居所が悪かったのだ。








「もー、うっるさい!ほっといてくれない?!」





だから、こんな“あたし”を見せてしまった。

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