第27話 次の依頼について
116 現状でやるべきこと
ふっと付近に今まで無かった魔力を感じた。
この魔力は知っている。
フィルラのものだ。
そう思ったところで、今まで古代魔道具が見せていた幻が薄れた。
本来の私がいる部屋の景色が、二重写しに映る。
通路から、いつもと同じ格好のフィルラが入ってきたところだった。
「調査? 早いわね。マイナさんは大丈夫そう?」
「2日寝れば治ると言っていました。此処へは調査ですか?」
椅子に座って幻が見える状態のまま、私は返答する。
「ここから管理の魔法で見える範囲に、魔女の牢獄みたいな存在がある可能性が高いの。一昨日にテレサ様と『火の魔女』の試練を受ける件で相談した時、テレサ様が言っていたわ。大陸の中部と東部には無かったから、おそらく西部だろうって。なら『火の魔女』権限でここから管理魔法を発動すれば、調べられる範囲にあるだろうって」
魔女の牢獄?
穏やかでは無い表現だなと思いつつ、聞いてみる。
「牢獄って、魔女の犯罪者を閉じ込めているんですか?」
「犯罪者というより、フュロスやルクスに都合が悪い魔女が対象らしいけれどね。何人かはガチで犯罪者に近い魔女もいる可能性があるらしいけれど。テレサ様によるとだけれどね。一応あの人は第一世代で、今まで認定された魔女をひととおり知っているらしいから」
そういえば以前、フィルラに聞いたなと思い出した。
行方不明の魔女が、それなりにいるという話を。
確かに第一世代の魔女なら、魔女全員を知っていて当然だ。
魔女は世界に認定されるごとに、大陸中に周知されるのだから。
ただ牢獄という言葉には、疑問が残る。
「でも魔女を閉じ込められる牢獄って、作るのは無理ですよね」
「牢獄と言ったけれど、実際は建物ではないみたい。大型の魔道具を使ってある程度の範囲を囲い、儀典魔術を使用して内側から脱出出来ないよう封鎖しているらしいわ。明らかに異常な魔力の流れを生じている筈だから、ここで調べればわかるんじゃないかって」
イメージとしては、ヴィクター王国で使用されていた宣誓の魔法と同じようなものだろう。
それなら思い切り心当たりがある。
「ちょうど、それらしい場所を見つけたところです」
「えっ! どこ?」
「座標を送ります。管理魔法の
それでフィルラも、私と同じものを見ることが出来るはずだ。
フィルラが椅子に腰掛けたのを見た後、私は意識を幻の方へと戻して、再度あの五角形っぽい
大丈夫、この状態を見れば、フィルラもすぐにわかるだろう。
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「確かにこれ、間違いないと思う。こういう場所を探しているって、ストレさんは知っていたの?」
「偶然です。管理画面の設定を変えてあれこれ見てみたら、管理魔法が違和感のような感じでここに何かあると伝えてきて」
「なるほどね。『古の魔女』の管理魔法でも注意すべき場所として出るわけか。ならこの中に、師匠もいるのね、きっと」
そうか。
フュロスやルクスに都合が悪い魔女が閉じ込められているのなら、当然先代フィルラもそこにいる可能性が高いわけだ。
「現地へ行って外周からでも見てみますか」
「『見つけても近づくんじゃないよ』。そうテレサ様は言っていたわ。近づいた魔女を捕集するような魔術がかかっている可能性があるから。明後日にテレサ様がまた来るから、その時にって」
確かにそのくらいの罠は、仕掛けてあるかもしれない。
何せ魔女を対象にした場所なのだ。
むしろ何もない方がおかしいだろう。
「なら今は、待った方がいいんですね」
「そう。一仕事終えたんだから、ゆっくりしたら。多分またストレさんと、今度はマイナさんにもお願いしないとならない事が出来ると思うから」
何かは想像つく。
「囚われた魔女の救出ですか」
「出来れば私が行きたいけれどね。ここを長期間空けることは出来ない。だから結局、自由に動けるストレさんとマイナさんにお願いすることになると思う。
ただこれも断って構わないわ。なにせ相手は元『古の魔女』も封じ込めることが出来る場所。当然危険だろうし、自分達が封じ込められる可能性だってあるしね」
確かにフィルラにはここでの仕事があるし、弟子もいる。
どれくらいかかるか不明な事案に関わる余裕はないだろう。
となると事情を知っていて、かつ動けるのは私とマイナくらい。
「なら取りあえず、ここで調べられることは調べた方がいいですね。管理魔法であの場所を分析出来るだけ分析してみて。あとは
もちろん現地で調査すれば、ここで知る以上のことがわかるだろう。
何を調べればいいかという情報もある程度は得られる筈。
しかし元『古の魔女』すら出てこれない場所だ。
途中、転移魔法でも脱出出来ない状況があるかもしれない。
だから此処から管理魔法で調べられることを調べて、更にその情報を元に、
そう考えると、
どうせマイナも2泊分は出てこないのだ。
出来る限りの情報を入手しておこう。
「調べ物なら手伝うわよ。手伝うというか師匠のことでもあるし」
「なら他にも似たような場所が無いか、確認していただけますか。私はあの場所を、管理魔法を使ってもう少し分析してみますから」
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