第22話 大人の事情ってあるんですね

反魔王派…現在の魔王に不満があるものの総称。魔族、亜人を嫌う人たちや、その血筋を持つものを嫌う人のことを指す場合もある。


1日シスターを終えた俺は、シスター服を修道院の本物のシスターに返すついでに

身の危険を感じたら、すぐに市長へ連絡してくださいと伝える


「お疲れ様です、アッシュさん」

アリスも任務中の黒装束の服に着替えて終わっていた

「アリスもお疲れ様。今日は何もなかったな」

俺はアリスに声をかけるも、少し口角を上げたアリスは、そうですねとだけ答える



その頃、ネグロドニア某所在地では……

魔王擁護派閥まおうようごはばつめ!!ふざけんなよ!」

声を荒げると、精鋭部隊の一人がむちを男に打つ

「お前らの仲間がいるなら、さっさと吐いた方がいいぜ…隣のやつは、お前が仲間の情報を吐いて、一人だけ罪を軽くするって言ったら、すぐに言ってくれたぜ…」


「ちっ…人間なら、ここを支配するメリットもわかってるだろ?なぁ手を組もうぜ…こんな薄暗い、ぐぅ!」

反魔王派の人が余計な事を喋ろうとすると、さらに鞭を打つ


牢の様子を映す魔石を、グリードニアは、静かに見つめる…

「現在、反魔王派と思われるグループは、魔族の奴隷化どれいかと、その売買をする拠点として使う事を目的とした犯行だった模様です…」

精鋭部隊のリーダーは事実を伝える


「…ふぅ……まだ、魔族の奴隷どれい利用は無くならないんですね…」

サイクロプスの血を引くグリードニアの大きな目には、拷問を受ける人の姿が映る

「サイクロプスの私は、見た目の差別等はありましたが…奴隷化などを考えると、電気の発電や、炎、それに鉱石などの採掘させるんでしょうね…」


「グリードニアさんの思うことで、間違いはないかと思います。魔力の弱い、魔人や亜人であっても私たち人間にとって、生活の支えになります。今は魔石などに頼ってる部分もありますが、貴族たちは違う商売をしてる面もありますし…」

精鋭部隊の隊長は、さまざまな国へスパイ活動をしつつ、こう言った亜人、魔人を救い出してきた功績がある


「しかし、テロ組織に狙われるような形だと、隣国との提携も必要ですね…」

グリードニアが、むずかしい顔をする


「グリーシア王国は、避難や連盟を組む方面では、協力的だと思いますよ。なにせ魔人、亜人の研究をしている王子もいますし」

精鋭部隊の隊長が言うと、グリードニアが


「そういえば噂で聞いたことがあります。アッシュさんの、弟…でしたね。亜人、魔族狂いで有名ですよ」


「そうです……我が国ではその王子のおかげで、暴走する魔族や亜人の対策ができました。疑い深ければ、是非我が国へお越しください」

あくまでもやっていることは潔白だが、認識のズレは大きな誤解を生んでしまう

その事を理解している二人は、お互いの関係にヒビが入らないように、話し合う



一方、その頃

アリスとアッシュは二人で食べているが

ハニートラップの練習はまだ続いており


「ねぇ…あ、な、た……今夜一緒に……どぅ?」

アリスはアッシュの腕に細い体を寄せながらさっしやく

「おい、ここは公共の場だぞ…?」

アリスにベタベタされるアッシュであった

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