09

「……生まれ変わっても、僕は、ハナちゃんが大好きです」


「わ、私も……生まれ変わっても、タロちゃんが大好きです」



目を閉じるハナちゃんに、顔を近づけた。

小さな、ぷっくりした唇。


心臓が、どきどきする。


瞬間、いろんな思い出が蘇った。


保育園のハナちゃんとの思い出、小学校のハナちゃんの思い出、中学校のハナちゃんの思い出、高校のハナちゃんの思い出。


この丘で会う事も、話す事も、出来なくなるんだ。


あぁ――もっと、ここに居たかった。


地球が終わってしまうの、受け入れられたと思ったのに。

全然駄目だ。



「大好きだよ」



空が真っ赤に燃える。

おかげで今が何時かなんて分からない。


まるで時が止まったみたい。


ずっとこのままだったらいいのにな。

地球、終わらなければいいのにな。


初めてのキスなのに、これが地球最期のキスなんて。


携帯電話が鳴り響く。

それでも僕らはこの場所から、動かなかった。

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