04




遠ざかって行く背中に大きな声で「待って」と叫んだ。

振り返り、目を丸くし驚く君は、また静かに涙を流していた。


その涙が夜と同じか分からない。

それを含めて、ずっと、ずっと聞きたい事があったんだ。


君を知りたいと思ったんだ。


偶然を待つのは、もう嫌だ。


込上がってくる感情に喉が熱くなり、自然と握る拳に力が入る。



「君が、」



吐き出した言葉は今まで曖昧にしていた感情で、その言葉に君は嬉しそうに涙を流して笑った。


聞きたい事が沢山あった。

知りたい事が沢山あった。


でも、それはここから始めれば。


2人の何かがやっと重なり、まずはお互いの名前を知る所から夜は明け始めた。



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