1.チビとしては四代目

 チビは、オスのコザクラインコだ。


 その体は緑、青、赤、黄色ととても鮮やかで、尻尾も含めて大きさは十五センチほど。とても小さいインコだった。


 チビは元々私の夫であるおいたんが独身の頃から飼っていた鳥だ。推定年齢は十一歳。確かな年齢は失念してしまったらしい。


 おいたんはペットに同じ名前を付けるクセがあって、チビはチビとしては四代目という事だった。初代から三代目までは、鳥だとは限らなかったらしい。ハムスターや他の種類の鳥が色々と混ざっているらしかった。


 私と結婚した時に、一人暮らしになる義母の話し相手としてチビは実家に置かれる事になった。私も就職が決まっていたので、新生活でチビの世話まで気が回らないだろうという配慮もあった。


 それが、ある事情で私とおいたんが暮らすアパートにチビがやって来た。そしてそのまま私達の元で暮らす事になった。


 最初は警戒して私からは逃げていたチビだったが、すぐに懐いてくれて仲良しになった。コザクラインコは『ラブバード』とも呼ばれていて、とても人好きがする鳥だった。


 私達夫婦が私の実家に入る時、チビは引越しの前日に実家に行く事になっていた。


 母は元々私達のアパートに頻繁に来ていて、チビとも仲が良かった。だから、そこは心配していなかった。ただ、問題は父である……。


 父は、何かと不安要素がある人だったのだ。

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