第2章-01
♦♦♦
この世界の魔法は血で受け継がれ、血によってそれぞれ固有の得意分野がある。
ほとんどの魔法使いが物体を動かしたり、消したり、生み出したりといった「対物質魔法」を主に扱う。
そして、「対物質魔法」以外の魔法を扱える魔法使いは極めて希少だ。
その中でもアリアが使用する魔法は、特に珍しい。
アリアが使用する魔法は、「治癒魔法」。
「治癒魔法」は人間のどんな病気やケガも治してしまう「対人魔法」の一種で、言うなれば”人の生き死にを操作できる魔法”。
あまりに希少なために存在することすら嘘なのではないかと、まことしやかに囁かれているくらいだ。
そしてこの治癒魔法は一つ変わった特性がある。それは、”魔法をかけられた者はかけた相手の記憶が消える”というもの。
つまり、治癒魔法で命を助けた相手は”命を救った自分のことだけを忘れてしまう”のだ。
最初はアリアもなんてことないと言っていた。
普段は薬を調合する薬師の魔法使いとして生活し、たまに重篤な患者を治癒魔法で治療していくだけのこと。
しかしそれでも、アリアの心は徐々に蝕まれていった。
魔法と記憶 青凪ちあき @aonagi_chiaki
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