【最強アイテム、芋】人生を楽しむ事で掴むハッピーエンド令嬢ライフ!
- ★★★ Excellent!!!
悪役令嬢ものというのも、1つのジャンルとしては鉄板と言えるほど広く読まれているジャンルと言える。物語のスタート地点として主人公はバッドエンドが確定している悪役ヒロインであり、そのままでは破滅ルートしか待っていないという状況でいかにこれを回避し〝主人公の視点〟で納得のいくラストを迎えられるか? を模索し楽しむジャンルと言える。
この〝バッドエンドの回避〟という部分で物語の作者の腕を振るう余地が大いにあるのがこのジャンルの特徴だ。
ある作品ではサスペンスばりに、周囲の人間関係の中に秘められた秘密を暴いて、一気に立場を逆転させるパターンもあるし、
ある作品では悪役としての地位を極めて、そのまま女帝のように君臨するというパターンもある
そう、このジャンルは作者の創作スキルが明確に要求されるのである
で本作品だが――
ヒロインは病弱で物心ついてからずっと病院暮らしと言う絵に書いたようなバッドエンドライフの持ち主、健康になりたいという夢は叶わず若くして命を落としてしまう――
そして、生まれ変わった新たな人生だが、そこは生前夢中になっていた心の支えになっていたゲームの中の世界だった。希望が芽生えたかに思えた! ――が、どのシナリオルートへ行っても破滅覚悟の悪役令嬢だと気づいた時、ヒロインは再び絶望に沈む――
と思っただろう?
そこから先がこの作品の素晴らしいところだ
ヒロインはジタバタせずに今現在の自分でできることを精一杯謳歌する。そして貴族令嬢という立場も顧みず、大好きな芋に人生を注ぎ始める。どんなバッドエンドに陥っても楽しく生きれるように! 彼女にとってお芋とは人生における幸せそのものであり生きる力そのものだったのだ。
そして彼女が今現在の自分で許された生き方を心から楽しみ始めた時、物語のシナリオに異変が生じ始める。その異変に気づいて戸惑いつつも、彼女はそれでも人生を楽しむことをやめない。なぜなら〝生きて好きなものを自由に食べる〟それこそが幸せの一つだと分かっていたから。
そして彼女の〝生を謳歌する〟という生き方が周りを次々に変えていく。シナリオ=人生と言う世界の中でヒロインが鮮やかにシナリオを書き換えていくのだ。全ての人々を幸せに導きながら――
そしてあなたは読み終えた時に思うだろう
੬ჴ ƠωƠჴჱ{ お芋食いたい
それほどまでに生命力に溢れた傑作である