滅びの青い雪、復活と希望の未来を信じて
- ★★★ Excellent!!!
― パンデミックによって女性が絶滅したと言われる世界。地上には男性だけが生き残り、生殖は「ガイアシステム」によって管理されていた。航空機や高度な技術も封印され世界は閉じていた。
それから500年後、ウィルスは絶滅し、ガイアシステムは『二つの世界』の隔離プログラムを解除する。そして物語の主人公カイルは、アンドロイドのアナを伴い幻の女性フェリアを探す旅に出る ―
この物語の最大の魅力は、500年前から練られた壮大な計画や、青い雪を起因とした全球凍結による地底世界への避難といったスケールの大きな世界観にあります。
さらに、主人公カイルをはじめとする登場人物たちの驚くべき正体、スターライナーや生体型アンドロイドといった未来的な存在が次々と登場し、読者をわくわくさせてくれます。
特に、カイルたちが世界を分断していたランス山を越えるシーンのスピード感。そして、二つの世界が交わる瞬間は圧巻です。愛する者への強い想いが描かれる場面にも感情移入しやすいです。
SFならではの醍醐味を余すところなく盛り込みながらも、物語はわかりやすく、会話は軽妙で心地良い。
この小説は、優れたエンターテインメントとして、心からお薦めできる作品です。