デート
「おー!ちゃんと原作のままに再現されているわね。これ」
「こういうクオリティーの高い原作再現は嬉しいよね」
己が失恋を知った次の日。
僕は何のかんの言いながら、環奈と一緒に秋葉原の方にやってきていた。
「実に良き」
そんな僕たちは今、二人でハマっているゲームのコラボカフェへと僕は環奈と共にまでやってきていた。
僕と環奈は基本的にやっているゲームが二人で同じだ。
ここら辺の行きたい場所というのはいつも二人で同じになる。
「食べるのがもったいない」
「まったくねっ!」
ゲームに関する者が置かれている店内。
ただ、それだけでテンションが上がっていくような店内の中で、僕と環奈は共にテンション高くカフェで頼んでやってきた料理の写真を撮っていく。
本当に、本当にすごいのだ、これはっ!
マジでゲームに出てくる料理の姿そのまま。完全なる原作再現。ここまでのものがお出しされればもう文句の出ようなんてない。
個人的にはゲームキャラが前面に押し出されているようなコラボメニューよりも、ゲーム内に出てきた料理を完全再現してくれるようなコラボメニューの方が大好物である人間なので、こちらの方がはるかに嬉しい。
「それじゃあ、いただきます」
なんてことを考えながら、僕は箸を持ち、料理へと手をつけていく。
「……輝夜って何だかんだ言いながらも、手を付けるときは早いわよね」
軽く写真を撮った後にすぐ、料理へと手を付けた僕に対し、環奈が口を挟む。
「冷めたら美味しくなくなっちゃうし……」
でも。ここまで原作再現された料理。
食べるのはもったいないが、それで躊躇して冷めて味が落ちてしまったらそれ以上にもったいないと思う。
「まぁ、それもそうだけどさぁ……もうちょっとなんかあるじゃん?」
「僕に可愛い反応期待されても困るよ。むしろ、こっちが期待しているよ」
「うぐっ」
僕は箸を進めながら、環奈の方に視線を送る。
可愛い反応。
そんなの男に求められても困る。女の子の方が可愛い反応は出てくるよね。男にはカッコいいと言って欲しいところ。
「……ご飯に可愛い反応とかないじゃん!」
そんな僕の視線に対し、環奈はちょっとだけ声を荒げながら、箸を手に持ち、一切の容赦なく料理をかき混ぜ始める。
「お前が一番残酷じゃないか……」
流石の僕も勢いでかき混ぜたりしないぞ……作中のキャラもそんなことはしなかったし。
「ハッ!?私は何を!?」
「草」
僕は環奈の奇行をサラッと流しながら、自分の料理を食べ進めていく。
「うぅ……」
それに対して、環奈は意気消沈とさせながら食べ進めていく……なんかちょっと僕が申しわけなってくるな。
いや、でも、軽く煽っただけで大きな反応を見せ始めた環奈の方こそ、ちょっとあれだったんじゃないかな?なんかそんな気がしてくるよ。
僕は悪くない。
「それにしても、やっぱり平日だから混んでなくてよかったね」
そんな環奈を前に、僕は新しく話題を変える。
「……まぁ、そうねっ!」
今日は平日。
普通の学生であれば学校に行き、社会人であれば仕事に行っている人が多いであろう平日のど真ん中だ。
そのおかげもあり、店内は比較的に空いていた。SNSを見る感じ、かなり大盛況で並んでいる!みたいな情報も見たけど、今日に関しては一切並ばずに入れた。
ちなみにだが、僕は高校は休んだ。
後悔はしていない。昨日の今日で静音とまともに顔を合わせられる気はまるでしなかった。
「私は引きこもりだから関係ないけどー」
「僕は明日……どうなるだろうなぁ」
担任の先生から休んでいた分!と言われて、更に多くの厄介ごとを押し付けられそう。
色々と、色々と僕は担任の先生からぞんざいに扱われているのだ。
「ご馳走様」
なんてことを考えていると、僕たちは揃って料理を食べ終えた。
コラボメニュー。
いくら完璧に原作再現されているとはいえ、そこまで量があるわけじゃない。
割とすぐに食べ終わってしまった。
「こっからが本番っ!」
僕に続いてご飯を食べ終わった環奈が意気揚々とした態度で一つの銀色の袋に包まれたものを掲げる。
「そうだね」
今回のコラボメニュー。
その料理には一つ、ゲームキャラの缶バッチが付属してくる。
本番はこちらであるとも考えられる……やっぱり、グッズっていうのは大事だからね。
「さぁ、来いっ!推しっ!」
その缶バッチが包まれている銀色の袋。
「カマセは嫌!」
それを魂の叫びと共に環奈は開く。
「カマセだぁぁぁぁああああああああああ!?」
そして、撃沈する。
カマセ。
ゲームに出てくるネタキャラ枠。面白い奴だが、こういう時に引きたい奴ではない。
しっかりとカマセを引いた環奈は崩れ落ちていく。
「あっ、推しでた」
そんな環奈を前に、僕はしっかりと推しを引き当てた。
こういう時の引き運。僕ってばかなりいいんだよね。
「私、今日、散々だぁぁぁぁぁぁぁ」
「草」
机に顔を突っ伏した環奈を見て軽く笑いながら、僕は自分が手にした推しの缶バッチをいそいそとケースに仕舞うのだった。
「って、あぁぁぁぁあ!ちゃんと当てているじゃん!何それぇっ!ずっるぅーっ!」
「へっ」
これは譲らないよ。
僕が引き当てた自分の推し……大体の人が好きな大人気キャラだ。
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