第24話

「うわ、本当にビッグニュースじゃん」


携帯片手に吉継は思わずポツリと呟いた。


渋谷の中心にある大きなモニターには、大勢の人だかりがこぞってフラッシュを焚いている。


関係者宛のFAXの文がアナウンサーに読まれると、所々に悲鳴に似た叫び声が聞こえた。


モニター横に、特大サイズの凛の腕時計の広告が掲出されている。


アクリルスタンド、ぬいぐるみ、うちわ。


全てが今モニターと広告の前に掲げられている。


「おっ、電話電話」


震えるスマホのボタンを押して耳に当てると、「はぁ……」と色っぽい吐息が聞こえた。


「お〜凛。有名人はツラいなぁ。アイドルみたい」


「……」


「あははっ、機嫌悪ぅ」


ムスッとした顔が安易に想像できる。


目立つことをとことん嫌う凛にとっては、今のこの大盛況な結婚お祭りムーブは苦痛で仕方ないだろう。


「結婚おめでとう。すげぇニュースになってんぞ」


「本当嫌」


「だろな。あの腕時計の広告も今日からだったんだな。すごい偶然。渋谷にいるけど、相変わらず綺麗な顔してんな、お前」

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