第7話

血が滾る感覚。


緊張なのか興奮なのか今だに分からない震えを誤魔化すように、ピックを持つ指に力を込めた。


チラリと右に目をやると、凛もこちらを見ていた。


ベースの指板を握る手は既に、最初に弾くコードの場所へと指が置かれている。


もう一つ滾るものがある。


曲が始まる前に、出だしの合図も含めて凛を見る時。


いつも落ち着かせるみたいに、優しく穏やかに笑ってくれる。


歌い始めの最初のブレス。


それと同時に、私達の音楽が始まった。

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