第2章⑥

「それは、俺にはわからないんだ。」

 ケイはそう一言呟いた後、続けて話た。

 魔王が町に直接被害を与えたのはケイの曽祖父が今のケイよりも十歳くらい上の時だったらしいのだ。その頃、魔王は町を支配しようとしたり、作物を枯らしたり、建物を破壊して自分の城を建てたり様々なことを行なってきた。その時、一度はケイの曽祖父たちの力によって魔王は制圧されたらしい。その頃まだ赤ちゃんだったケイの祖父は曽祖父からこの話を何度も聞かされ育ってきたそう。そのままケイの父親へと代々伝わってきていた時、ケイが生まれる五年ほど前にまた姿を現すようになったらしい。

 最近は町の人へ魔王による直接的被害はそこまでないものの、今もみんな魔王を恐れながら過ごしているし、子供達もいつ何がわからないからずっと外で遊べない状況である。ケイも祖父との訓練以外では外で遊ぶことは許されなかったようだし。だから、何らかの被害が出る前に倒さなければとケイが剣士として育てられたのであった。

「そうだったんだね」

「まぁ、実際何回も魔王にやられてて倒せないんだけどね。それに今回はやられた上にこんなところまで飛ばされちゃったし。」

 ケイがそう言い、鈴は大変だったねとケイを宥めた。

 ……ふぁぁ…

 ケイは大きな欠伸をした。それを見た鈴はもうお風呂入って寝ようと提案した。そしてケイをお風呂場へ案内した。リビングに戻り、鈴はソファに座り一息ついた。

「えっ!?お風呂すご!!!」

 お風呂場から聞こえてくるケイの声に鈴は少し微笑んだ。

 ピロリン♪ピロリン♪

 鈴のスマホから着信音が鳴った

「もしもし?そっちからかけてくるなんて珍しいね…」

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