HPに載ってるけど

 ナツがあたしの前に姿を現したのは、お店に来た次の出勤日のことだった。

 365日朝の10時から次の日の朝5時まで開いてるお店だけど、お昼の仕事をしているあたしは、毎日出勤してるわけじゃない。


 だから、あたしの出勤日なんてお店のHPを見ないと分からないはずなのに、ナツはあたしの出勤時間に現れた。


「よう」


 そう言って幼く笑ったナツの手には、今から鍋パーティーでも始まるのか?ってくらいスーパーの袋が持たれていて全てが私への差し入れだった。


 こういうお店に来た相手に「何しに来たの?」なんて野暮なことを聞いても良いもんだろうか。

 偶々この前は知り合いと来てたから”そういう気分”にならなかっただけで、今日は違うかもしれないし。


「こんばんは」


 前回と同じように、ズカズカと奥のソファへと向かうナツに声をかけると、ソファに腰掛けたタイミングで


「毎日いるわけじゃねえんだな」


 とナツからの言葉が返ってくる。


 あたしが鬼出勤かましているとでも思っているんだろうか。


「お昼の仕事もしてるから毎日はちょっと…」


「へー。次いつ?店に毎日電話したせいで変に思われたから教えてくんね?」



 …………ん?!


「毎日お店に電話したの?」


「ん?ああ」


 お茶を差し出しながら話すあたしに、受けとったお茶をすぐに口に含み


「HPに載ってるけど――…」


「――ブッ」


 豪快にお茶を吹いたナツはゲホゲホと苦しそうに咽せ 


「早く言えよ」


 と咽せながら少し恥ずかしそうに呟いた。



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