第7話
「お腹減ったね、リン」
急に恭ちゃんがベッドから私を抱き上げ立ち上がる
「……ッぇ……きょ」
ビックリして恭ちゃんを見る目が開き瞬きが増える
そんな私に黒目だけを向けて
「立てないんでしょ?」
透き通る、か細い恭ちゃんの甘い声が降って来る
軽々と私を抱き上げたまま廊下を進み広いダイニングキッチンを通り抜け
「…ど、……どこ行くの……?」
スタスタと歩く恭ちゃんに質問を投げると
「本当はリンのご飯食べたいトコだけど
今食材ないしリンも立ってられなそうだから今日だけ嗣也んトコの食堂行く。美味しくないけどね」
恭ちゃんは白いTシャツに黒の半袖の大きめのパーカーを羽織った黒のスウェットのまま玄関へ向かう
とてもラフな格好なのに恭ちゃんは様になる
それは綺麗な氷の様に綺麗な顔と、187センチある長身に細いのにシッカリとついた筋肉、その体型がそうさせてるんだろう
恭ちゃんに見惚れて、ハッとする
待って?私、下着に恭ちゃんのTシャツ1枚なんですけど
しかも、シャワー浴びてないし
そこら中ペタペタしたまま
気付いた時には、もう玄関を出ていて
それにしても
どうしてこんな広い敷地にこんな豪邸
無表情に前を見て足早に歩く恭ちゃんに尋ねる
「恭ちゃん……な、なんでこんな豪邸なの…?」
「早く慣れて」
いつもの返し
「………」
納得いってない私に気付いてる癖に肝心な事はいつも教えてくれない。
「高校も、編入手続きしておいたから来週から行けるよ」
その言葉に慌てて恭ちゃんを見上げるけど
私はただただ、瞬きの回数が増え続け
「ね、ねぇ、私お金持って来てないし…しーちゃんも居ないし……高校なんて……」
それでいて私にめっぽう甘く
「リンは何の心配もしなくていいよ」
なんて言う………
何も言われず何も聞かずに
ただ恭ちゃんに着いて来た私は状況が分からずに戸惑う事ばかり
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