第27話

そして闇の魔法を感知できるメロウとマリーは二手に分かれてまずは学園内の捜索に当たることになった。



しかしどんなに探しても学園内には闇魔法の痕跡すら見つからない。



「ライちゃんどこいっちゃったんだろうねぇ」



速歩で学園内を闊歩するメロウの後ろを追いながらコイルが呑気な声を出す。



「…………」



「あれ?無視?メロウくんてそんなキャラだっけ?」




「…………先輩」



「ん?なあに?」



カツカツと上質な革靴を鳴らしながら歩いていたメロウが突然足を止め、コイルを振り返る。




「先輩は…最近のライをどう思いますか」



「最近の?ライくんじゃなくて"ライちゃん"になってからのってこと?」



「はい」



「どうって、前みたいにトゲドゲさはないし、なんだか妹みたいで可愛いと思うよ」




「そう…ですよね」



「?メロウくん…?」



キョトンと首を傾げるコイルにメロウは続ける。




「昨日、ライが先輩の研究室に居たんですよ。成績が落ちたのはあの魔法薬のせいだから責任取って貰うんだって。でもだとしても今までのライだったらコンプレックスを抱えてる相手に教えをこいに行ったりしないと思うんです」



「はは、そうだね。ライ"くん"だったらそうだろうね」



(まあ、僕なんて魔力も無いただの無価値な人間なのだけど)



「…僕は個人的に性別と自我は比例しないと思っています。なので、彼女の大きな人格の変化も体が変容したから…というのは考えにくいと思うんです」



「確かに。でも何かのキッカケではあったんだと思うよ。その"何か"がなんなのかまではまだ分からないけど。君が守りたいのは今のライちゃんなんでしょ?」



「はい…」



不安そうに俯くメロウに、コイルはニッコリと微笑みかけた。



「心配だよね、でも大丈夫!僕達にはマリーちゃんがいるし!黒魔導士なんて即浄化だよ!」



メロウを元気付ける為にコイルはバンバンとメロウの逞しい背中を叩く。



しかしそれでもメロウの不安は拭えなかった。



次にライと再会した時、ライがまたあの虚ろな人間に戻ってしまっていたら…と考えると焦りが込み上げてきて仕方がなかった。



(僕には出来なくても、あの聖女モドキなら廃人も癒せるのか…?)



メロウは漠然とそんなことを考えながら自分の手のひらを見つめた。

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