SSS随筆集

SSS(隠れ里)

【驕り高ぶる大根役者】

 私は、小さな舞台で生きる脇役のひとりだ。


 どういうことかと言うと……。どのような場所にも存在するものがある。それは、立場という名の舞台で、人間はその舞台にあがり、配役が与えられる。役名という焼印を押された者たちは、否が応でも役割を演じてときには、操り人形のように動かされる。その中で、良い演技をしようと努力するのだ。しかし、決められた配役にあぐらをかき、演じることを忘れるものたちがいる。


 ときに、彼らは『独裁者』と呼ばれ大きな舞台を閑古鳥が鳴く平地に変える。彼らは、小さな舞台にも現れる。そこでは、『パワハラ』と名を変え、懸命に演技をする役者を嫌う。さらには、演技力を磨くこともせず、小さな虚栄心の火に油を注ぎ続けて他の役者を叩く監督を気取るのだ。


 小さな炎は、火の車となって周囲を焼き払う。やがて炎は燃え尽きて灰となり、大根役者となった彼らの末路は、お客様からのヒンシュクと舞台からの追放。投げ銭の代わりに与えられるものは、罵倒と嘲笑──舞台の上でカーテンコールを聴くことができるのは、懸命に演技に向き合ったものだけなのである。

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