第2話




「…ん…?」



自然な目覚め…。

十分な睡眠を取り、目覚めた先は…リビングの景色が広がっていた。



「あ…毛布?!」



むくっと起き上がったたナオの体には、柔らかな毛布が掛けられていた。

既にその場に居ない弥生が掛けてくれたものだろう。とても肌触りが良い。





「あっ!!!何時だ…?!」



ジャケットに入りっぱなしだった携帯を取り出すと…チカチカと着信を伝える点滅が…。



「あ゛?!…マスターから…伝言だ???」





『ナオ君、申し訳ないんですが、私事で今日・明日臨時休業にする事になりましたので…あぁぁぁ!!!大地っ!!それは……ピー。』


「休み…か。」



最後の不可思議な名前と叫びは…聞かなかった事にして。

取り合えずこの毛布を片付ける事に…







と、



「ナオちゃんおはよvV…ってもう夜だけど。」

「…あぁ見りゃ解る。あ。コレ…サンキュ…。」


濡れたままの髪でリビングへと入って来た弥生が、頬を染めニコッと笑う。

それに几帳面に畳んだ毛布を抱えたナオが少し照れた様に礼を言うのだ。




昨日のアレが幻ではないと、当事者二人が実感する。





…弥生の髪からポタポタと水滴が落ちる。




「お前は子供かっ?!…ホラッ髪…っ!!」

「ん…?『水も滴る良い男』って言うじゃん♪…フフッ!!ナオちゃんこそ寝~癖っ!!」



頭からタオルを被ったままで、ナオの毛先に触れる。




「お…っ///!!俺は風呂に入るっ!!!飯はそれからだぞっ!!!」



照れ隠しのつもりか、ナオは頬を染めて逃げる様にバスルームへと姿を消したのだった。



「あ~ぁ…行っちゃった…。」



ガシガシと金糸の髪の毛を乱暴に拭きながら、その後姿へと一言洩らす。







…そして、


「もしもし…僕だけど…」



その辺にあった自分の携帯で何処かへと電話を始めた。

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