第2話そして異世界へ

そこは切り立った断崖の上であった。

そしてその眼下には見渡す限りの大自然が広がっていた。

ここまでの自然は元居た世界だと昔教科書の写真で見た『富士の樹海』や『白神山地』、

あるいはテレビで芸能人がピラニアやワニと格闘している場所でおなじみの中南米ぐらいだと六千京里ろくせんけいりは思った。


「異世界ぃ~~~~~!!!!!!!来たぁーーーーーー!!!」

大声で叫ぶ六千京里に傍らの高天原は慌てて静止した。

「ちょ、先輩!ここが異世界なら、この大自然の中で大声出すのはまずいですって」

案の定遠くから何かが鳴くような声がした。

「今のは?」

そう口にしたのはこの空間の紅一点、桃源シズネだ。

「ドラゴンとかじゃねぇ?ほら、遠くの方に飛んでるぜ」

シズネの問いに高天原はそう答えつつ、右手で遠くの空を指差した。

「ドラゴンって爬虫類かな?あと高天原君、めっちゃ頭低くしてっけど何の対策にもならねぇと思うぜ」

「何言ってるんすか。ドラゴンならこの距離からでも普通に俺達を知覚してもおかしくないっすよ。なんせドラゴンっすよドラゴン!魔物モンスターの王様!」

「だからこそだろ?大正義ドラゴン様ならブレス一発でここら一帯灰燼と為るよ。それならいっそのこと死の間際にドラゴン様の体躯おすがたを拝みたくね?」

「それはそう」

ドラゴンの裁縫箱を大事に持ってる系男子二人は会話についていけない紅一点シズネを放置して崖から身を乗り出す一歩手前まで歩き始めた。

「気をつけろよ。まだこの崖(?)に人よりデケェ鳥が巣くってないとは限らないんだからな」

「わかってますよ。先輩、望遠鏡持ってましたよね?ちょっと貸してください」

「おう。ちょっと待っててね(あれ?)あれ?」

そこで高天原は様子のおかしくなった六千京里の方を向いた。

「生きてますか先輩?」


目の前には上下の服のポケットを漁っている六千京里とその背中を少し離れた位置で見ている桃源の姿があった。

「あれぇ?俺の望遠鏡がねぇ。テーザーガンもねぇし。ビデオカメラもねぇ!」

「えぇ?!(というか先輩ってそんなに色々ポケットに入れてたんだ。あとポケットの数多いな。ブランドはメニーポケットか?)どうするんすか?!!」

「(行間多くね?)あ、代わりにこんな手紙が入ってた」

三人は集まってその手紙を読み始めた。


人間ムシケラへ。テメェらのポッケに入ってた物はこの世界の文明に悪影響を及ぼしかねないので、没収しました。ざまぁみろ。そして野垂れ死ね。

偉大なる神より」


「異世界転生して転生前よりも弱体化することってあるんすね」

「まぁいいよ。一から作る楽しみが増えたと考えれば。それよりも今自分たちが持ってる物の再確認と行こうか」

六千京里がそう言うと他の二人は自分たちのポケットを探り始めた。


数分後


「とりあえずポケットにあったのは、おやつ代わりのチョコバー三本とガム一つ。小銭ジャリ銭何枚かと工具一式か」

「よかったぁ。これがなかったら俺泣き叫んでましたよ」

「よし!まずは今日一日で水源と居住空間の確保な。死にたくなければついてこい!」

「センパイってボーイスカウトとかやってたんですか?」

「いいや?ただ親戚がキャンプとか好きだったからな。ある程度の知識はあるぜ(あと村作る系のゲームが好き)」


こうして彼らの旅は始まった。


一帯どうなってしまうのか。

虫刺されにだけは気を付けてね

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界転生同好会~異常なる者たち・科学の力で無双する~ 目玉焼き @yuderuna

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ