第28話

にこやかに血に濡れた服を見下ろして、あたしの手をそのまま引いていく男の思考がさっぱりわからない。



いや、わかっちゃダメだ。



この人の思考を理解できてしまったらそれこそ人として終わる。



いや、今のあたしはペットだから理解するまでもなく言いなりになっておけばいいんだ、うん。



精神状態は最早ある意味で崩壊気味だったと思う。



あたしが思うありえない状況をことごとく提示してくるもんだから、



下手に現実味のないこの状況だからこそ未だに自分を保ってられだのだろう。

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