第9話

「あ、やべぇ」



生徒玄関に着くなり凪が一言呟いた。



「やべぇって何がやべぇの」



「1限の体育、どこ集合か聞きに行かなきゃだった。すげーめんどくさ」



「あぁあれね」



名簿順で回ってくる意味分かんない役目。聞きに行ったら行ったで“遅い!”とか文句言われる。



「うぜぇね」



「ま、行くしかないから行くわ。じゃあな猫」



ひらひら手を振る凪はもう後ろ姿で、あっという間に視界から消えてった。



「…」



手を振り返す暇さえ与えなかったよ。

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