「血塗れ」と「修道女」という対の言葉を冠するミレンたちは、罪を犯しながらも裁かれぬ罪人たちを処刑していく、いわゆるダークヒーロー(ヒロイン?)にあたります。
綺麗事では語れぬ世界で、それでも彼女たちは救いを求める手をひとつずつ拾っていく。
物語を柔らかく包むのが、ミレンの御伽話を読むような優しい語り口、そしてミレンを支えるマリーの頼もしさ。
そこに執行の情景が、まるで雪原に散る鮮血のように引き立てられます。そのギャップが本作品の魅力だと思います。
あと武器がかんざしというのが個人的にめちゃくちゃカッコいいなと思っています。一撃必殺、惨たらしくなんてしません。しかも修道女ですよ、誰か映像化してください。絶対映えます。
寓話のような親しみやすさと残酷さの共存、そして柔らかな雰囲気をもつ暗殺者。ピンと来た方は、是非。
この作品の最大の魅力は、何といっても決めセリフのかっこよさと、血と陰謀が渦巻くダークな世界観です。
「血塗れ修道女は刑を執行する」
(cruenta monialis peragit damnationem)
このフレーズが登場するたび、あまりのカッコよさに私の胸を撃ち抜きます。笑
繰り返されることで、その重みと中毒性が増していくのがたまりません。
舞台は“共和国の辺境にある殺しを請け負う修道院”という、背徳的でありながら抗いがたい魅力を放つ場所。
人身売買、裏切り、処刑――救いのない世界の中で、あえて“裁く側”に立つシスターたちの存在が、暴力と正義のはざまを鋭く突いてきます。
この作品は、何よりその厨二的な格好良さがたまらない一作です。
決めセリフに痺れる人、ダークで退廃的な世界観が好きな人には、迷わずおすすめします。
共和国の辺境に存在する修道院。
そこで働いている修道女たちには殺し屋という裏の顔があった……。
女の子が騙されたり、奴隷商人に売られそうになったり、かなり残酷な世界観ですが、だからこそ、そんな世界に颯爽と現れ、悪党たちを倒すシスターたちがかっこよくて、爽快感があります。
言語センスのある作家さんで、赤い噂とか血濡れ修道女は刑を執行するとか、作中に出てくる用語とかセリフがかっこよくて中二心をくすぐられてしまいました。
また、ギャップが効果的に使われているところも、素晴らしいですね。
まず、シスターが殺し屋をしているというところ、それと、ミレンという修道女が戦っているときはクールな仕事人という感じなのに、戦闘が終わると、泣きだしたりして、子供っぽい面を見せるところとか、そういうギャップがキャラや作品をとても魅力的にしているように感じます。
個人的にはシスターたちが殺した相手が悪党だとしても、殺人を肯定していないところが好きですね、
それによってキャラクターの葛藤とか懊悩が生じて、ただ手に汗握るようなバトルが楽しめるだけじゃない、深い人間ドラマのある作品になっていると思います。
個性的で魅力的なシスターがたくさん出てくるので、そういうキャラが見たいという方は読んで損はないと思います。おすすめです。