安希と幸加とレディースウェア

立松希惟

第00話 浅香安希

 浅香安希あさかあきはひ弱い子でした。城南じょうなん小学校の体育はずっと1でした。2年生の時にやっと泳げるようになりましが、遠足ではふらふらでした。3年生の時に自転車に乗れるようになりました。ちょっとずつ遠くに行けるようになって5年生の秋の遠足の時に山奥で忘れたセーター取りに行ったこともありました。この頃からクラスの女の子達がきれいになってきました。6年生になって、女の子の着るレオタードが気になって自分の服を全部脱いでそれを着る夢を見るようになりましたが、それを着ることはありませんでした。一度、妹が家庭科で縫ったミニスカートをはいてみたり、夏用のムームーを着てみたりしました、不思議と涼しかったの覚えています。

 春海はるみ中学校2年の時に好きな女の子ができましたが、その子とはとても親しい友達になりました。3年の冬に書店で雑誌を見て、女の子用の雑誌でしたが買って帰りました。中性っぽいのがかっこいい!という特集があって、ワンピを着てる男の子や男子にスカート解禁のお店があってスカートを男の子と女の子が取り合いしてると言う記事がありました。安希はお金を貯めて、人目のつかないお店に行き、黒のデニムスカートを買いました。お部屋に帰ってこっそりはいてみて涼しさを感じていました。また、お金を貯めて2枚目のスカートを別の店で買いました。

「スカート、はいてみたいんだって」

 とお店に居た女の子たちに言われましたが、平気で買いました。ただ、それをはいて寝た次の日に風邪を引きました。ともあれ、安希はお部屋に帰ってスカートはいて寝る子になりました。少しずつクローゼットにスカートがたまっていきました。そして鷹沢たかざわ高校に入学しました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る