第48話 口宮「イェーイ、視聴者くん、見てるー?」
―――― 口宮視点 ――――
「い、イェーイ。視聴者くん、見てるー??」
配信を始めてから最初にしたことは、ピースピースってしながらそう言うことだった。
ゼウスに言われた通りに指でくるっと縁を描くと、配信やらゲームやらのメニューが出てきたので取り敢えず配信を開始した。
幸い、今の俺の姿はVのアバターに髪色以外一致していたので、リアルバレすることがないことは確認したので、特に心理的な抵抗もなく配信を始めることができた。
“誰これ“
“実写?“
“ここって口宮のチャンネルだよな?“
“こんな爽やかイケメン、僕知らない!”
コメントを一瞥し、一考。
何をいうべきか考えた末出した言葉は――
「――お前らナムるぞ?」
我がチャンネル名物、造語の「ナムる」だった。
意味は簡単、お前をもやしのナムルのように炒めてやる、まさに拷問の荒鷲である、
“あ、これ本物だ”
“失礼しました美味しく炒めないでください”
“やーい!馬美肉!現実じゃそう可愛くないくせにガワだけかわいい悲しいやつ!”
「お?お前言ったな?俺怒ったかんな?ちょっとゼウスに言ってお前らに呪いかけてもらうかんな?橋本かー○な?」
負け惜しみ程度にその言葉を吐いた途端、コメントが沸き始める。
“は?ゼウス”
“あのやばい神様じゃないですかやだー”
“え、お前ゼウス後ろ盾にいるの?”
“あの配信の後お前らに関わりできていることに驚き...は特にないな、うん。てか予想通りだわ”
流れゆくコメント欄を眺めていると、公式マークの付いたアカウントからのコメントが。
内容をよく見ると、それはゼウスからだった。
ゼウス@創造神: ”なんか面白そう。ランダム呪い企画、やる?その代わり口宮君にも呪いをかけなきゃならんくなるけど”
そのコメントを読み、「うんうんそうだろう、面白そうだろう」と思うのもつかの間、最後の文を脳が理解する。
「...え?ちょ、ゼウスさん?なんで俺にも呪いが来ることになってるんですかね」
ゼウス@創造神: ”その方が面白いじゃん”
「ひどい?!」
思わず叫ぶ。
いやまぁ、やろうとしてることは俺の方がひどいんだけども。
それでもそう叫ばずにはいられなかった。
”お前の方がひどいがな?”
”くずはお前だよ”
”視聴者へ無差別に呪い掛けようとしてるのに代償がないとでも思ったかww”
”ゼウスさん、やっちゃってくだせぇ!”
加速するコメント欄。
俺の方がひどいぞと伝える旨のコメントも多いが、その中はゼウスにやっちゃってくだせぇと呪いをせかすコメントも多数。
お前らも呪われるだぜ?頭おかしいのか?いやまぁそれが俺の視聴者か、と。悲しきかな、納得してしまったのでその思考は中断。
この配信の旨を伝えることにした。
「はぁ、もういいよ。次の配信とかで無差別呪い配信とかゼウスに頼んでみるから」
”おう、そうしろ”
”面白そうだし待機”
”それで?なんでお前3d...っていうか実写みたいになってるの?”
”ゼウスによるドッキリか何かかな”
「お、勘のいい視聴者もちらほらと見えるな。その通り、これはゼウスによる陰謀だ。俺のことをあんまりおもしろくなく思っていたゼウスが俺を異世界に飛ばし――」
『——違うよ?変なこと言うなら君その世界から本当に出れなくしちゃうからね??』
「——半分嘘です」
無念、恐怖には勝てなかった。
さすがにこの世界から出れないのは地獄である。
いやまぁ、この世界に関して俺はまだ何も知らないんですけども。
ゼウスの作った世界...いや世界?
電脳世界とでもいえばいいのか、とにかくまぁ。ここがろくでもない場所なのは普通に予想できるだろう。
だからこそ、俺は今すぐにでもこの世界から出たいッ!
ゼウス@創造神: ”僕のせいではない。この世界に閉じ込められたのはアフロディーテのせいじゃ”
”草”
”美の女神さん?”
”何してるんだか...”
「それでね、どうやら俺はこのゲームの世界のボスを倒さないとこの世界から出れないようなんだよね」
現代社会でぬくぬくと平和に生きてきた人に何やらせてんだ、と思わないことはない。めっちゃ思う。
けれど、ここで頑張らないと言葉通り俺は死ぬ。
「アフロディーテとやらに一発文句を言うためにも、早急に俺はこのゲームをクリアしないといけないわけだ。幸い、俺はゲームが割と得意。まずは情報を集めないことには何もできないし、ちょっくらこの森から脱出しようと思うぜ!」
そういって俺は、たぶん下だろうと思う場所に歩き始めるのだった。
ーーーー 創造神ゼウス視点 ーーーー
「どうしてこうなった」
口宮君をナ〇ブギアで3D世界にダイブさせて早一分。
僕は神皇様の目の前で正座させられていた。
「ねぇねぇ神皇様や、僕悪くなくない?悪いの全部アフロディーテじゃない?」
「いやアフロディーテも悪いけど君もたいがいだからね?なんでデバッグもしてないゲームを一般人でデバッグしてるんだい」
「それは、まぁ...おもしろそうだったから?」
「そのせいで今口宮君が電脳世界に閉じ込められてるようですが?」
「うぅ...はい」
僕が報告する前にどこからか口宮君が閉じ込められたことを聞きつけた神皇様。
よく日本で話題になる神隠しとほとんど同じ状況だからか、今までに僕が見たことないくらい真剣な顔をしていた。
「それでこれ、直せるの?」
しょうもないとはいえ、一応は神の呪い。
アフロディーテの固有権能を使ってないとはいえど、最高神の権能いうこともあって、僕では直すことができない。
いやどうなんだろう。直そうと思ったら直せるだろうけど、もしかしたら口宮君にまで被害がいくかもしれないので下手に触ることができないのが現状だ。
だけど、神皇様は違う。
僕よりも存在としての位も、つかう権能の
配信の様子を除く限り、口宮君はいつも通りのテンションで楽しそうに配信してるし面白そうに配信してるのでこのままでいいんじゃない?とは思うものの。できればこの呪いを解除できたほうがいいのが現実だ。
だから聞いてみたものの、神皇様はその顔をしかめた。
「うーん、そうだねぇ...」
「え、もしかして神皇様も解除できないの?これ」
「いや、できないわけじゃないんだよ。できるんだけども...下手すりゃ配信サイトが死ぬ」
「...Why?」
え?配信サイトが死ぬ??呪いの解除で??
何がどうしたらそうなるんだ。
「いやね?解除はできるよ。このナーブギ〇で入った先の電脳世界を世界として移行する?的な感じの方法なんだけども...」
「...あ、もしかしてその時に通信のための電波ごと死ぬ系?」
「そうだね、日本風で言うと縁というかそこら辺のものごと異世界に持っていくから...まぁたぶん。サーバーごと異世界に飛んでいくかもしれないよねっていう」
ウーム納得。
運営に関しては某米国だしあらかじめ僕が伝えれば何とかなると思うけど。
それでも世界的な動画配信サービスなのだ。
利用者が納得するかは限らない。
「一応ね?すぐサーバーをもとの場所に戻すことはできるんだよ??でもなぁ...規模が規模だから対処できても、ねぇ?」
「暴動が起きるってことね...」
世界全体の時間を止めることは禁忌になっているし、できないからなぁ...
ん?お前普通に禁忌とか犯してるんじゃないのって?うるさいなぁ、ばれなきゃ禁忌じゃないんだよハッハッハ。
「うーん...最高なのはアフロディーテに呪いを解かせることなんだけどねぇ」
たぶんほぼ不可能だろう、それは。
あいつが今どこにいるかもわからないし...うん。
「神皇様が見つけてくれるなら不可能じゃないね」
「頑張るわ」
そうして神皇様は目をつむりうなり始めた。
...え、よだれ出てるけどねてないよね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます