第5話 猫又さん
「ふふん、ふぅーーーん。
さてと尻尾を取らなきゃね。」
私はお尻の尻尾をベリベリと剥がす。
冷蔵庫を開けて、缶ビールと裂けるチーズ。
そして、本物の猫又さんにはチュール。
乾杯!!
「でも、流石よね。猫又さん。
本当は一匹なのに、どんな猫にもなれちゃうんだもんね。
そいでもって、その人の求めてるものがわかるんだから、、。」
「お前こそなんだ?うにゃとかんにゃとかおかしいぞ!そんな猫語はない!
調子にのるんじゃない。」
「あれ、すいませんでした。
だってさ、猫っぽくした方いいかなって思うじゃない?」
「今度からはやめるがいいぞ。
わしゃさむいぼが出る。」
「はーーい。
ねぇ、猫又さん覚えてる?」
「にゃんのことじゃ?」
「あー!今、にゃんのことって言ったわ。
ほら、猫語ににゃってあるんじやないの。」
「そんな事はいい!
忘れられるか、お前のこと。
今にも電車の線路に飛び込もうとしてたんだならな。」
「そう。あの日、別れ話があったんだよね。
結婚式場の下見までしてたのに。
やっぱり、昔の人が忘れられないって。
その人と生涯を共にしたいってね。
なーんか、自分がバカに思えたの。
彼の事を知ってたつもりだったけど、
本当のところはなーんもわかって無かったんだってね。
親にも会ってたし、会社の皆んなにも話てたから死ぬしかないってね。
冷静になれば、死ぬほどの事じゃなかった。
あの時に猫又さんが声を掛けてくれたのよね。」
「人間ってやつは、どうも考え過ぎるんだな。
頭でっかちで、時が流れてくのまで何とかしようとしやがる。
時は流れてくもんだ。それに争わないで行くってのも大切なんだな。」
「うん。そだね。
でもさ、猫又さんは最初から猫又じゃなかったんでしょ?」
「ああ、俺はあの子の猫だったんだ。
いい子でな。捨て猫の俺を家族にしてくれた。
だけどな、結核でな、、、。
あの時代は治らない病気だったんだ。
俺は泣いた。泣いて泣いてな。
そしたら、あの子が現れたんだ。
そいでな、俺に困ってる人を助けてあげてって言うんだ。
その時からさ、尻尾が2本になったのは。」
「そうだったの、、。
猫又さん、私とずっと一緒にいてね。」
「そうさな。だけども、お前は俺より先に死んじまう。」
「大丈夫。私、お母さんになってさ、その子や
その子の子供、またその子の子供って続くから。猫又さんをひとりにしない。
約束するよ。」
「うにゃにゃにゃ。
そうか、そうか。そりぁ、楽しみだ。
おい、今夜は俺にもビールをくれ!」
ひとりと一匹の酒盛りは夜通し続きました。
気持ちがついていかない時に、耳をすませて
みてください。
ほたほたやさんの声が聞こえるかもしれません。
これにて、おしまい。
ほたほたや 菜の花のおしたし @kumi4920
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