序盤を読んでの感想です。
一歩踏み込んだ瞬間、そこに広がるのは冷徹にして苛烈な女王の支配する世界。イリア女王が持つ威厳と美しさは、ただの装飾ではなく、その在り方そのものが国を統べる絶対的な力となっています。彼女が示す法の在り方は、人の善悪を単純に裁くものではなく、「生きようとする意思」そのものを問うもの。裁かれる者たちの行く末を見つめると、そこには確かに厳しくも筋の通った論理が流れています。
また、イリアの冷徹な判断の裏に潜む確固たる信念が、ただの暴君ではない彼女の魅力を際立たせています。どこまでも貫かれるその哲学に、読者は強烈な引力を感じずにはいられません。支配する者とされる者、その境界線の在り方を問う物語の始まりに、早くも心を奪われました。