-5- 手紙

 家の中に戻る。郵便受けから手紙を回収する。おもわず、まじまじと封筒を見つめた。少し珍しい青い封書。ほんのわずかな緊張。心を落ち着かせるように深呼吸をする。


 とにかく、郵便受けにあった手紙の中身を開けて見てみることにした。

 その手紙の字は荒れていた。さらに、その手紙の文章は今までの整然とした文章から一転していた。赤黒い文字。生臭い腐った生魚のような不快なにおい。かつて待ち焦がれていた手紙は、いまや恐怖を運んでやってきた。


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 取った な

      わた し の たからもの

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 その手紙を読んだ瞬間、背筋に冷たいものが走る。心当たりはあった。祠にあった釘。朝の悪夢。ずっと持っているのも気味が悪い。

 その釘を返しに行くと決めた。そして祠に張り込んで、こんなふざけた手紙の差出人を見つけ出す。


 コートを着る。マフラーを巻く。なんとなく、釘を直接触りたくなくてハンカチで包んで持ち出した。

 空は灰色。風は冷たい。家の周りを見渡しても、先ほどのように人影は無い。家に鍵をかけて、足早に祠まで歩き始めた。

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