魔法使いの資質
「そもそも魔法と魔力って何なのか分かる?」
オーレリアは座っているグレン、ネル、レイドの前に魔法で様々な文字や図形を表示させて魔法の講座を進める。そこには、魔力と魔法と四元素が表示されている。
「魔力はマナと密接に関係があり、魔力の量とマナの量が魔法を使う上で必要とされているとされていますね。魔法は魔力とマナによって発動され、詠唱によってマナが使用されるぐらいしか分からないです」
「まぁ、世間一般だとそれぐらいの認識だよね~。魔力総量は魔法の威力、マナ総量は魔法の使用回数に比例する。それで、魔法には属性があるの。それは知ってる?」
「魔法に属性ですか? 四元素があることは知っていましたが魔法にも属性があるんですか?」
「そうだよ~。火、水、風、土の四元素それぞれに魔法は分類されるの。それが属性。例外として光と闇があるけど、使用者はあんまりいないから除外しておくね」
「なるほど。私たちが使用している
「そうそう。火球は火の元素に分類される魔法だね。さて、ここからが本題。みんなが無意識で四元素に分類されている魔法が使えているのに属性の話をしたのかなんだけど、私たちの魔力にも属性があるんだ」
「え? 魔力にもですか?」
「うん。これは、私が発見したことなんだけど、魔力も四元素に分類されるんだよ。面白いよね~」
「ということは、魔力の属性と魔法の属性が一致すると強化されるとかってことですか?」
「その通り! いやーそこに気付くとはさすが魔法剣士だね」
四元素ごとに分類される魔法と魔力を魔法で表示させてそれぞれの関係性を見せて説明する。魔力の属性と魔法の属性一致によって10の威力の魔法が20にも50にもなったのが表示されている。
実際の映像も流れ、属性一致されていない人の火球を測定器で測定すると威力100となっているが、属性一致した人の火球は威力200と表示されていた。
「そんなにも変わるものなんですね」
「そうなんだよね。私も最初はそんなこと無いだろうって思ってた。ここでもっと面白いことをしてあげる」
オーレリアはそう言うと、手のひらを上に向けた状態で魔力を通わせる。そうすると、魔力に反応して空気中の四元素がキラキラと光り始めた。
赤や緑や青といった感じで空気中には様々な四元素が漂っていたのだ。そのことを見せられてグレン、ネル、レイドは驚く。
「う、嘘。世界を構成するのが四元素というのは聞いてましたが、まさか空気中に漂っているとは思わなかった」
「分かるよ~分かる。私も気付いた時は驚いたよ。そして、ここからが大事な話なんだけど、空気中にも四元素が存在してるってことは、そこでも属性の一致があるとは思わない?」
「・・・空気中の四元素との一致でも魔法の威力が上がるんですか?」
「ピンポーン! 正解! 魔法を強くしたいのなら、魔力の強化だけじゃなくて、属性の一致も考えれるといいんだよ~。
自身の魔力と魔法の属性一致、空気中の四元素との属性一致。そこを意識して使える魔法を増やすことで2倍にも3倍にも魔法の威力は上昇する。
同じマナの消費量でも威力は強い方がいいでしょ?」
「そうですね。同じマナの消費でも2回の魔法で倒せるより1回の魔法で倒せるほうが圧倒的にいいですからね。ですが、どの魔法使いの魔力にも属性なんてあるんですか?」
「誰の魔力にもそれぞれ属性を有してるよ~。ただ、いくつの属性を有してるかは魔法使いの資質になってくる」
「なるほど。いくつもの属性を有してるほど威力が高い魔法が打てるってことですもんね。ちなみにオーレリアさんはいくつの属性を有してるんですか?」
「私? 私は6属性」
「「え!? 6属性!?」」
全ての属性を有していることに全員が驚いて声を上げる。聞いてる感じでは、2つの属性を有してるだけでも凄そうなのに全属性である6つとなると、異次元である。これこそが、魔賢と呼ばれるゆえんだ。
「長々と話したけど、大事なのは自分の魔力を知ることと世界の四元素の流れを知ることだね。まぁ、空気中の四元素のコントロールまでやろうと思うと大賢者クラスだからあまり気にはしなくていいと思うよ」
「分かりました。あの・・・ところで、私の魔力の属性って知ること出来るんですか?」
「ふふふ・・・私がいるということは、魔力の属性を知ることが出来るのだ!」
「「おぉ~!!」」
「今までの話を聞いてて思ったが、オーレリアがネルの魔力を魅力的って言ってたり才能があるって言ってたのは魔力の属性のことだったのかい?」
「その通りグレン! ネルの魔力は属性が凄いんだよ!」
「え!? そうなんですか? 何だか嬉しいです」
「でしょでしょ」
「ちなみに私の魔力の属性っていくつ有してるんですか?」
「なんと! 2つ有してる!」
「・・・え?」
「あれ? 不服な感じ?」
「まぁ、オーレリアの有してる属性を聞いた後なのと、才能とか魅力的とか聞いてたから4つとかあるのかと思ったよ」
「はい。グレンさんの言う通り、拍子抜けというか何というか」
「分かってないな~。そもそも偉大な魔法使いや賢者でも有してる属性なんて1つばっかなんだよ。後は得意ってレベル。得意だから威力があるように見えるけど、実際はマナの消費量とか考えると属性一致してる人に比べると全然なんだ」
「なるほど。オーレリアが異質なだけで、一般の魔法使いや賢者からすると2つの属性を有してるってだけで異常なのか。ネル良かったじゃないか」
「は、はい。そう聞くと嬉しくなってきました。実際、高ランク冒険者の魔法使いの方で複数の属性を有してる方っているんですか?」
「うーん・・・私が見た感じだとSランク冒険者の中で何人か見たかな。それ以外だといないよ。そんなに何人もいるんだったらネルに興味持たないよ~」
「そうですか。それで、私の魔力の属性って何なんですか?」
「ちょっと待っててね~。ネルの魔力は水と風だね」
「水と風ですか。普段使ってる魔法と違ってるから方向性を変えた方が良さそうですね」
「そうだね~。属性一致した魔法を使った方がいいね。さてさて、グレンとレイドはどうかな。
グレンは・・・おぉ~! 光だ。スキルと相性がいい属性で、魔力にこの属性を有してる人は数少ない超レアな属性だよ。レイドは、火になってる。面白みないね」
「光か。スキルと相性いいのはありがたいな」
「お、面白みがない・・・」
「オーレリアはいつもあんな感じだからレイドも気にしない方がいいぞ」
「ありがとうございますグレンさん」
こうして魔法の講座を終えたオーレリアは、ネルの属性に合った魔法について教え始める。そこに割って入ることが出来なそうだと感じたグレンとレイドは、夕食のための狩りへと出かけた。
「グレンさんは、どうやってそこまでの強さを手に入れたんです?」
「僕?」
「はい。
「・・・僕たちは運が良かったんだよ」
「運が良いだけでそこまでの強さになれません!」
「本当に運が良かったんだ。高レアな
運良く手に入れたチャンスを活かすことが出来た。それが強くなれた理由かな」
「そうだったんですね。チャンスが来た時にそれを掴み取れるようにしないといけませんね」
「そうだね。レイドにも必ずそういったチャンスはやってくるから焦らずに行こう。ただ、そのチャンスばかり待って努力を怠ることはしないようにね」
「はい! そういえば、高レアな宝物ってどういったものなんですか? そんなに劇的に変わるほどの凄い効果だったんですか?」
「経験値倍化の宝物だよ」
「経験値倍化!?」
あまりにも凄い効果の宝物にレイドは驚く。経験値倍化の宝物は現在までに確認されたことが無く、戦えば戦うほど恩恵が大きい宝物のため、冒険者の誰もが欲しがる宝物。
「グ、グレンさん。その宝物ってさすがにお借りすること出来ないですよね」
「申し訳ないけどさすがにそれは出来ないね。あれは、僕たち6人の絆の宝物なんだ」
「ですよね。すいません無理言ってしまって」
「まぁ、冒険者ならだれでも経験値倍化の宝物なんて聞いたら喉から手が出るほど欲しいってなるから気持ちはよく分かるよ」
「ありがとうございます。何にせよ努力は怠らずにし続けないといけないってことですね」
「そうそう。経験値倍化の宝物が手に入ったけど、僕たちは努力し続けたからね。Bランク以下のダンジョンをいくつ踏破したことか」
「そんなにダンジョンクリアしたんですか?」
「100や200じゃ済まないぐらいクリアしたよ・・・。金にも困ってたからずーっとダンジョンクリアしつつクエストもやりつつで頑張ったな」
「自分はまだまだですね。もっともっと頑張ります! あと、気になったんですが、グレンさんがギルドマスターとして成し遂げたいことって何なんですか?」
「冒険者を食い物にしてるブラックギルドを全て潰すことだよ」
「ブラックギルドを潰す!?」
「そう。僕たちがいたブラッディハウンドはブラックギルドで、僕たち6人は搾取され続けてたんだ。そこに自由とか何も無かった。だからこそ鍛え続けて努力をし続けてブラッディハウンドを脱退するだけの力を得たんだ。
だけど、まだまだ道半ばだね。僕たちみたいに苦しんでる人たちが絶対にいるはずだから、そういった人たちをいないようにしたいんだ」
「そんな志があったんですね」
「全ての脅威にいる人たちには不自由させずに冒険者業を楽しんで欲しいって思ってるよ」
グレンとレイドはビッグボアを狩って夕飯の素材を調達し終えた。ビッグボアの解体をサクッと済ませてビッグボアの肉とオーレリア達が手に入れた野菜とアイテム袋から出した調味料などを使いシチューを作る。
そして、順番に見張りをしながら睡眠を取る。
1人が見張りの時に不穏な通信をし始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます